カテゴリー:日本一の原油アナリスト藤澤治がズバリ直言する!「原油・シェールガス・資源の近い未来」

2013年06月27日 (木)

短期連載最終回 シェール革命はバブル?

 こんにちは、藤澤治です。今回が一応、最終回になります。ありがとうございました。

 中島さんとの共著出版を記念して、来月7月16日(火)に東京(原理原則研究会)で中島さんとダブル講演をやります。パワーポイントもたっぷり2時間分お持ちしますのでぜひ聴いてください。目から鱗が落ちる初耳情報ばかりだと思いますよ。

 これだけ原油やガソリンについて毎日報道されてるわりに、私のような業界人を除きますと、エネルギーについてご存じの方は少ないように思えます。メディアやエコノミストも同じようなモノですからご安心ください。わからないことがあればなんでも聞いてくださいね。



「シェール革命でアメリカ経済は復活する」という話題で少々、ブーム先行の感が強いようです。たしかに少し前までアメリカ国内はバッケンをはじめ、産出地域周辺の自治体では失業率が大幅に改善され、年収10万ドル超のトラック運転手が大量に生まれました。

 しかし資源やエネルギーはあくまでも需給が大きな決定権を持っています。採算がとれなければ話になりません。

 いまシェールオイルは余剰となっています。原油輸出は原則禁止ですが、コノコフィリップス社のCEOは政府に輸出解禁を強く主張しています。たぶん解禁します。オバマもこのアメリカ経済復活のチャンスを見逃すはずがありません。

 そんななか、GMXリソーシズが倒産しました。シェールガスを生産していた企業ですね。この10年、シェールガス採掘量は全米天然ガス採掘量の2%から37%に急増。生産過剰で天然ガス価格は08年のピーク時から30%も値崩れしています。これでは資金に余裕がない企業はいきづまりますよ(負債総額420億円)。

 シェールガスがいきづまるとアメリカ経済そのものにも悪影響が出てくるでしょう。シェールガス増産でエネルギーを自給し、輸入国から輸出国に転じる。財政赤字の半分は原油ですからね。それが消えてなくなりかねない一大事です。

 前回お話ししたように、シェールガス田はボーリング1本当たり生産量は在来型よりもはるかに少ないのです。シェールガスの掘削コストは平均500万〜1000万ドルです。生産性は在来型ガス田の10000〜100万分の1しかありません。つまり、量でカバーするしかないんです。

 いまや採掘権が販売され、すでに儲けた企業や投資家はさっさと一抜けた、となっています。

 資源やエネルギーでは日本は常に苦難の道を歩んできました。だから逆境には慣れています。企業もそうです。

 シェール革命で17年からアメリカのLNGが輸入できます。契約すれば価格は低下する、とマスメディアは報道していますが期待先行の感が強いように思えます。原発事故以来、日本は世界のLNGを高価格で輸入してきました。
 これからの輸入は供給ルートを分散させることが即、価格低下の要因となります。輸入価格を低下させるにはもっとも効果的なのは原発再稼働でしょう。

 昨夏、大飯原発の2基のリアクターが再稼働しましたが、そのニュースが報じられた瞬間、スポット価格は12ドルBTUに下落しました。日本からのキャッシュアウトを減らし、貿易収支赤字を改善するにはやはり原発再稼働が必要でしょうね。

 シェール革命でいちばん利益を得るのは日本企業です。シェールオイル、シェールガス用の強靭パイプを供給しているのは日本の鉄鋼メーカーです。新日鐵住金とJFEが仲よく40%ずつシェアを占めています。中国産や韓国産のパイプはすぐに腐食したり折れたりしますが、日本製は長持ちしますから人気があるんです。
 採掘現場では日本製の重機や超大型ダンプが動き回っています。コマツが開発した無人ダンプは超人気です。

 日本国内ではタクシーはほとんどがプロパンガス仕様ですが、これはコストがいちばん低いからですね。このCNG(圧縮天然ガス)タクシーの製造元はもちろん日本のメーカーです。

 日本全体の製造出荷額336兆円のうち20%以上が自動車産業です。自動車産業が伸びればカーナビ、カーステレオを製造する家電メーカーも息を吹き返します。アメリカの景気回復は日本の輸出産業にとって福音となります。

シェール革命を征するのはやはり日本だ、と思いますね。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『消えたヤルタ密約緊急電 情報士官・小野寺信の孤独な戦い(前半)』(岡部伸著・新潮社)です。詳細はこちらからどうぞ。

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2013年06月20日 (木)

シェール革命で困るのは中東とロシア?

 シェール革命は、世界の地政学的構図に大きな影響を与えつつあります。

 ご存じのように、ロシアは、ソ連邦崩壊後の危機から石油生産・ガス生産という資源大国化で外交的に復活しました。しかし、これからアメリカやカナダが一大資源国として台頭してきますと、外交的な力が弱体化するのは自然な成り行きですよね。

 実際、2012年の天然ガス生産量は、アメリカがシェールガスの生産増で筆頭生産国ロシアを追い抜いて1位になっています。

 シェール革命はもともとアメリカへの輸出をする予定だったカタールのLNGが、当てが外れて販売できなくなったのでヨーロッパに販売されているわけです。

 ロシアは、ガス輸出量の70%をEU向けに輸出してきましたが、このカタール分が流入してしまったために、ヨーロッパのスポットLNG価格は低下。EU委員会ではガスプロムの輸出価格(パイプライン)が高すぎる、と値下げ要求。ガスプロムは泣く泣く払い戻しをしているのです。

 これからロシアはアジア諸国へのLNG輸出を目指します。

 アメリカは原油生産でも、シェール革命の超軽質原油の分野で生産大国になる、と予想されています。たしかにシェールオイルの増産は顕著です。バッケン・シェールでは07年には従来型の原油が日量3万バレルでしたが、いまや70万バレル以上。全米原油生産量の10%を占めているのです。5〜6年間で23倍。2020年には日量160万バレルも可能と予測されています。


 IEAの2012年中期石油展望では、アメリカ全体のシェールオイル生産量は11年の日量84万バレルから17年には日量330万バレルと4倍増すると予測しています。従来の原油とその他の「コンデンセート」と呼ばれる生産量を加えると、全米石油生産量(原油というより液体燃料)は、11年の日量566万バレルから17年には809万バレルに増加することでしょう。

 シェール革命のせいで、非OPEC諸国の原油生産量は増加します。IEA予測では、世界需給をバランスするには、OPECの必要原油生産量は17年になっても日量3100万バレル程度。現在の生産量=日量3000万バレルとほとんど同じ。すなわち、OPECの増産は中期的には必要ないということです。

 OPECも、シェール革命、シェールオイル増産、カナダのオイルサンド開発、南米等での原油増産の可能性を認めています。とはいえ、OPEC事務局長のバドリ氏は意外と楽観的でして、原油価格は100ドル前後で推移する、と述べています。

 OPECの強みは、やはり、在来型の原油を生産している点です。なんといっても生産コストが安いですよ。

 世界中の平均原油生産コストはバレル10〜12ドルです。原油価格が100ドルなのに生産コストはたった10分の1なのか! 驚く向きもあるかと思いますが、中東や北海油田など、昔々からある大規模油田は、減価償却済みの設備ですから、きわめて原価が低いのです。従来の中東原油の生産原価はバレル3ドル以下です。

 対照的に、最近開発されたアフリカ沖やブラジルの深海油田、カナダのオイルサンド、シェールオイルなどの生産原価は、バレル50〜70ドル。いかにコストがちがうかわかるでしょう。

 シェールオイル増産で需給が緩和される。となれば、原油価格が低くなります。バレル当たり50〜60ドルになれば、シェールオイルや生産コストの高い原油の増産は採算割れしてしまいます。そうなると需給が逼迫します。価格が上昇します。

 OPECの存在感は、シェールオイル増産で非OPEC諸国の生産が増えれば、徐々に価格調整力は失われるでしょう。ただし、全面的な価格戦争になれば、生産コストの低いOPEC諸国が勝利するのは目に見えています。

 もちろん、OPECも生産性のない価格戦争は望んでいません。生産枠を以前より厳密に管理して生産を続けるはずです。

 これからのOPECの課題は結束力です。現在、イランの核開発疑惑で親米派のサウジ、クエート、UAE、カタールなどと、イラン、ベネズエラなどの反米派に分かれています。シリアの内乱問題でも立場を異にしています。これらがまとまるのは、パレスチナ問題。アラブ、ペルシア国家は反イスラエルでまとまります。

 シーア派、スンニ派というイスラム教の宗派紛争も関係しているので複雑です。

 OPECも結成50年が過ぎました。イランの原油生産量が欧米の経済制裁で削減を余儀なくされていますが、その不足分をGCC(アラブ協力会議)のメンバーのサウジ、クエート、UAEが増産し、また03年のイラク戦争以来、OPECの生産枠外とされてきたイラクが日量300万バレル以上の原油を安定的に生産して補完しています。

 OPEC事務局も、イラクが安定的に原油生産量を増加することには不満で、迅速に生産枠内に戻ることを要請していますが、イラクは同意していません。イランの核疑惑、シリア内乱、イラクの原油増産はOPECが直面する喫緊の問題なのです。


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2013年06月13日 (木)

シェールオイル輸出解禁! 輸出先はアジア?

 国際エネルギー機関(IEA)の世界エネルギー見通し(World Energy Outlook・2012年)では、2020年には、アメリカの原油生産量は11年の日量810万バレル(NGLを含む)からサウジやロシアを抜いて日量1100万バレル超。

 世界最大の原油生産国になると予測しています。もちろん、シェールオイル増産によるものです。

 アメリカの石油対外依存度は、05年の60%から11年には45%にまで低下しています。06年以降、原油の輸入量は減少し、06年の日量1000万バレルから最近では日量800万バレルにまで減っています。

 第1次石油危機時に叫ばれたエネルギー・インディペンデンス(エネルギー供給を全て国内で賄い対外依存度が0になる状態)が2030年にかけて達成される、と予想する向きも少なくありません。

 では、原油輸入を止めるようになるのでしょうか?

 メキシコ湾岸に製油所が圧倒的に多いのですが、装置的には重質の原油を処理してガソリンや暖房油、軽油に変える高度な装置が備えられています。シェールオイルは、IEAがLTO(ライト・タイト・オイル)と呼んでいるように、低硫黄で超軽質な油です。残念ながら、大量に処理できるように製油装置がシステム化されていません。

 製油所を運転するには、加熱のために微妙な熱量バランスをとることが必要でなんですね。設備が高度化された製油所では多くのシェールオイルは処理できません。どうしても処理しようと思えば、設備構成を大転換するだけの投資をしなければならないのです。

 問題はコストですね。

 今後、中東原油を大量に減らすと予測するアナリストはたくさんいます。アメリカの原油輸入量を詳細をチェックしますと、12年には中東原油は05年レベルに戻っています。全体量としては減少していますが、減少したのはアフリカからの輸入分なんですね。

 アフリカ原油は軽質原油ですから、シェールオイルと性状的にまったくではありませんが、よく似ています。このアフリカ原油の輸入が激減したんです。

 テキサスには、サウジの国営石油会社サウジ・アラムコが投資する製油所があります。たくさんのサウジ原油が処理されています。将来的には、カナダからの重質オイルサンド原油も輸入するでしょうが、中東原油の輸入はこれからも続きます。中東諸国は原油輸出を梃子に、アメリカとの戦略的・外交的な関係持続を望んでいますしね。

 いま、シェールオイルはアメリカ国内でははっきり言って余剰以外のなにものでもありません。バッケンの軽質油は鉄道で国内のあちこち製油所に運ばれています。
 シェールオイルだけでなく、原油輸出は原則禁止なのですが、オバマは日本解禁を発表しました。メジャーのコノコフィリップス社のCEOは、政府に対して、「シェールオイル輸出を解禁すべきだ」と主張しています。

 シェールオイルの増産が期待通り続けば、20年までに、日量100万〜200万バレルは輸出できるでしょう。市場はアジアです。


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2013年06月07日 (金)

アメリカから安価なLNGを大量輸入できれば貿易赤字は減る。

 アメリカではシェールガス増産で国内ガス価格が低下していますが、シェールガスを液化天然ガス(LNG)として輸出しようとする動きが盛んです。

 かつて、アメリカのガス需要増を補うためにLNGを輸入するためにターミナルを数多く建設しました。2009年半ばには輸入ターミナルが4ヶ所、建設中が3ヶ所あったのです。シェールガスの急激な増産で、現在、これらの輸入ターミナルを輸出用ターミナルにしようと転回しているのです。

 様変わりです。

 ただしエネルギー輸出には極めて慎重で、日本への輸出も先日、ようやく許可されました。原油輸出は原則禁止なんですね。LNG輸出にしてもエネルギー省と連邦エネルギー規制委員会の認可を得なければならないのです。

「ガス輸出は国益を損なう」と反対も少なくありません。エネルギー省は2012年半ばに第三者の外部コンサルティング会社、NERA Economic Consultingに「ガス輸出がどれだけアメリカ経済に影響を与えるか」という調査を委託しました。

 2012年12月に報告書を公開。「国内の天然ガス価格は上昇するが、マクロ的にアメリカ経済には利益になる」という結論でした。
 エネルギー省はこれを受けて、LNG輸出を原則的に認可するはずです。

 ただし自由貿易協定(FTA)の締結国々への輸出は自動認可されますが、日本のように非締結国への認可は難しいのです。FTA非締結国への認可が下りているのはSabine Passプロジェクトのみでした。

 環境問題や技術的な側面でも連邦エネルギー規制委員会の許可を必要とします。こちらはコストもかかり環境問題に関するアセスメントがあるのでむちゃくちゃ時間がかかるのです。

 いま、エネルギー省と連邦エネルギー規制委員会の両方の許可を取得しているのは、ルイジアナのSabine Pass LNGプロジェクトのみです。

 FTA締結国向けの認可が下りているのは16件。主要なプロジェクトはテキサスのFreeport LNGプロジェクト、メリーランドのCove Point LNGプロジェクト、ルイジアナのCameron LNGプロジェクト、テキサスのPangea LNG プロジェクトの4件。この4件は年内にエネルギー規制委員会の認可も受けられるでしょう。

 輸出開始時期は、Sabine Passは15年、Freeport, Cove Point, Cameronは17年、Pangea LNGは18年とされています。

 量的には合計で年5620万トンですが、この数字がいかに大きいか。。。いま世界最大のLNG生産国はカタールですが、年間7700万トンす。いずれ米アメリカはカタールに次ぐLNG輸出大国となるかもしれません。

 もしすべてのLNG輸出計画が認可されたら、LNG生産能力は年間1億5000万トン超になりますが、さすがにそこまではいかないでしょう。

 エネルギー省からFTA締結国への輸出案件は短期間に許可が下りますが、エネルギー規制委員会はかなり期間がかかります。天然ガス価格が上がる可能性もありますから、20年頃には年間6000万〜7000万トンにはなるかもしれません。

 日本企業にしても、たとえば、Freeport LNGには中部電力、大阪ガスが液化加工契約をしています。Cove Pointには住友商事と東京ガス、Cameron LNGには三菱商事と三井物産が契約を協議中です。

 カナダでもLNG輸出プロジェクトが計画されています。日本は東日本大震災以来、原発が停止しています。LNG火力発電の急増。高値購入。アメリカから大量にLNGが輸入できれば輸入価格を下げることができます。

 この問題は日本のエネルギー政策の中でも重要なテーマです。


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2013年05月30日 (木)

シェール革命は世界のエネルギー構図を変える!

 先週は急な出張で中島さんに代打を頼みました。というわけで、2週間のご無沙汰ですね。藤澤治です。

 さて、おととしあたりからでしょうかね。マスコミで騒がれてる「シェールガス革命」について少しというか、かなり触れておきたいと思います。
 どんなものにも光と陰がありますが、シェールガス革命も同じです。今回は光の部分についてお話しておきましょう。

 それにしても、最近は連日、シェールガスの話題で持ちきりです。経済誌だけでなく、いろんなメディアに記事がヒットしますね。最初は「シェールガス革命」と言われてましたが、いまは「シェール革命」ですね。

 つまり、元々は天然ガスの生産量が急増することを示していたわけです。それと同時に生産されるシェールオイルの量が多くなった。そこで「シェール革命」と呼んでるわけです。

 シェールとは「頁岩」のことです。一種の堆積岩で、薄く1枚1枚はがれやすい。まるで本の頁のようだ、というので頁岩と言われいます。有機物がたくさん含まれています。頁岩層にはガスや石油がふんだんに含まれることは昔から知られていました。ちなみに、日本のマスコミはシェールオイルと呼んでますが、海外ではふつう「タイトオイル」といいます。タイトとは頁岩のことですからね。

 参議院議員の浜田和幸さん(国際未来研究所所長)は「石油が戦略物資である所以として、アメリカでは巨大油田が発見されているにもかかわらずその情報を極秘にしてきた」と述べています。

 氏が指摘しているのはノースダコタ州とモンタナ州にまたがるバッケン油田のことでしょう。ここにはサウジアラビア以上の原油がある、と地元紙は報じています。いま話題になってるのがこのバッケン油田ですね。

 シェールガスやシェールオイルがそんなにあるなら、推定埋蔵量に参入すればいいのにしなかった。頁岩層のガスや液体を採掘するのは技術的に困難だったからです。

 技術的に解決したのがジョージ・ミッチェルです。1981年からシェールガス採掘に目をつけて、18年の歳月をかけて成功に導きました。現在93歳ですけど、いまなおシェールガス関連の仕事をしています。02年に会社を35億ドルでDevon社に売却し、いまや億万長者です。

 2000年にはこの非在来型ガス=シェールガスはアメリカの総ガス生産量のわずか1%でしたが、現在30%超。
 頁岩層の岩盤からガスを生産する方法は水圧破砕法と水平掘りという掘削技術で、まさに技術革新でした。新技術で堀り出された天然ガスはテキサス州バーネットから始まってオクラホマ、アーカンソー、ペンシルバニアへと拡大。それからバッケン。テキサスのイーグルフォードに広がっています。

 シェールガスの生産が急増したおかげで、アメリカのガス価格は低下しています。

 ルイジアナ州ヘンリーハブというガス集積地のスポットガス価格は、原油価格の高騰した08年には平均100万BTU当たり(BTUは英国熱量単位で250カロリー)8.85ドルでしたが、12年には2.75ドルに下落しています。現在、3ドル台にようやくなっています。

 シェール地層にも2種類あって、ガスと一緒に液体(超軽質原油)をたくさん生産するものをウエットなガス田。ほとんどガスだけを産出するのをドライなガス田と呼んでいます。ガスの生産原価は100万BTU当たり3ドルですから採算性が悪いドライなガス田の生産は減少しています。

 脚光を浴びたのがウエットなガス田で、ここで生産されている軽質原油の生産コストはバレル60〜70ドルです。いまアメリカの原油価格はバレル90〜100ドルですから、シェールオイルはいかに利益幅が大きいかわかります。

 シェールガス田といいながらシェールオイルの生産が話題となり、ガスは副産物のようになっています。

 シェール革命に火をつけたのは11年9月15日。国家石油審議会(National Petroleum Council)がオバマ政権に提出した報告書ですね。「慎重な開発によって北米は膨大なガス資源と石油資源が生産できる」と発表しました。

 北米の原油生産量は2035年には日量2200万バレルになる、というのです。これはサウジアラビアとロシアの生産量合計より多いのです。タイトオイル、オイルサンド等の生産増で、北米は次代の中東になる、という報告は世界中を駆け巡りました。

 シェールガスを含む地層はなにもアメリカやカナダだけではありません。米国エネルギー情報局の推定では、技術的に回収可能なベースでは、中国が筆頭、次いでアメリカ、南アフリカ、オーストラリア、カナダ。ヨーロッパではフランス、ポーランド。中東にも存在します。

 残念ながら、北米以外のシェールガス、シェールオイル開発にはかなり期間がかかると思います。というのも、水圧破砕には大量の水を必要とするからです。パイプラインなどのインフラも必要ですし、土地所有権問題などもあります。北米以外では制約が多すぎて難しいでしょうね。

 現にフランスでは水圧破砕法の採掘は環境上、政府によって禁じられています。ドイツでもメルケル首相は極めて慎重ですからね。イギリスは科学的見地から水圧破砕法は地震を誘発しない、との結論にいたりました。12年12月に開発にゴーサインを出しています。

 環境問題は地下水汚染と地震誘発です。シェールガス開発には、地下2000〜4000メートルを掘りますから地下100メートルにある地下水には影響はない、と開発業者は述べています。水圧破砕法では高圧(約500気圧)の水と化学薬品を注入して一種の地震を起こしますから影響がないとはいえない、と反対する人も少なくありません。

 ヨーロッパは環境問題に敏感ですから、アメリカのように早急に開発が進むとは思われません。環境問題に影響が出てくると科学的に証明されれば世界的に生産が縮小するでしょう。
 埋蔵量世界一の中国でも、長期的にはともかく、まだまだ萌芽期で中期的な生産目標すら野心的に過ぎると思われます。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『中国化する日本 日中「文明の衝突」』(與那覇潤著・文藝春秋)です。詳細はこちらからどうぞ。

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2013年05月16日 (木)

石油はしぶとく長期的に生き残る

 1週間のご無沙汰です。藤澤治です。先週は「石油時代の終わりの始まり」というお話をしましたね。
 では、そのあとはとうなるのか。ポスト原油はなんなのか。。。石油の消費が減少すれば何がエネルギーの主役に躍り出てくるのでしょう?

 世界の1次エネルギー需要構成はBP統計によりますと、2011年は石油33%、天然ガス24%、石炭30%、水力6%、原子力5%、再生可能エネルギー2%となっています。

 これが現状ですね。

 長期的には、2030年でも石油の構成比は28%程度で急激には下がりません。この減少分を補うのは天然ガスと再生可能エネルギーでしょうが、天然ガスは26%に伸び、再生可能エネルギーは5%に増加すると予測しています(2030年度)。

 しかし石油のシェアは下がっても1次エネルギー需要自体が増えるので量的には増加していくわけです。

 2030年には現在の日量9000万バレルから日量1億バレル以上に増加します。石油は産業用燃料としては減少するかもしれませんが、交通用燃料、石油化学等に使用される原料としては相変わらず人気があるんですね。

 自動車燃料が真っ先に考えられますが、蓄電池を利用したハイブリッド(HV)、家庭で充電できるプラグ・イン・ハイブリッド(PHV)、電気自動車(EV)あるいは圧縮天然ガス(CNG)、圧縮水素自動車などが次世代自動車としてもてはやされています。

 日本を例にとりますと、新車の販売台数では、毎月、プリウスが圧倒的に売れてますが、保有台数に占める割合はごくわずかなんですね。

 11年3月末で、HV140万台、EV9200台、PHVとCNGを足しても次世代自動車は141万台。11年末で乗用車の登録台数は5867万台、バスやトラックを合わせると7500万台超です。次世代自動車の保有比率は、乗用車全体の2.4%程度。トラック等を含めた総自動車数にしめる割合は2%に満たないんです。

 HVはこれからも伸びるでしょうが、EVはフル充電で走行できる距離が短いし、充電設備のインフラが整備されていませんから、日産リーフや三菱アイ・ミエーブは苦戦しているわけです。

 無公害車として最終的な自動車は燃料電池車(FCV)ですが、これはこれで開発コストが高いし、技術的にもまだ商業化できるレベルではありません。それに自動車メーカーも、ガソリン、ディーゼルの内燃機関の燃費向上技術を磨いて、さらに燃料効率改善に努力しています。
 
 現在、OECDの先進国で進んでいる技術、とくに次世代自動車の普及は、非OECDの発展途上国では経済的に難しい。トヨタもホンダも2020年代でもガソリン、ディーゼルは自動車の主力燃料に留まるでしょう。BPの長期エネルギー展望でも、石油は相変わらず交通部門の燃料の90%を占めると予測しています。

 石油は今後ともしぶとく主燃料として残ります。液体であり、持ち運びに便利という利点は、やはり捨てがたいわけです。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『大研究! 中国共産党』(沈才彬著・角川書店)です。詳細はこちらからどうぞ。

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2013年05月09日 (木)

石油時代の終わりの始まり?

 こんにちは。藤澤治です。1週間のご無沙汰です。

 ここ最近、話題になっているのは、原油生産というよりむしろ石油需要のほうでしょうね。
 世界のトレンドは先進国は減少傾向で、新興国とか発展途上国は増加傾向にあります。前回ご紹介したBP統計でも、00年以後の需要を見ると。。。

 たしかに伸びています。00〜11年までは平均年率1.4%増です。

 より詳細に見ると、先進国=OECDの合計需要は05年をピークに平均年率0.5%減です。発展途上国を含む非OECD諸国の需要は平均年率3.6%増なのです。

 アメリカ、ヨーロッパ、そして日本は減少しているのです。

 08年7月にはWTIの価格が史上最高値をつけました。日本の11年の石油需要は09年より増加しています。東日本大震災で原発が停止。発電用が急増したからです。

 OECD諸国の減退は、第1次、第2次オイルショックを経て、原油価格が高騰し、乱高下も激しく、とくに産業用の消費が石炭とか天然ガス、原子力などに換わって喰われたためです。

 発電用には原子力、天然ガスが多く利用されてきました。
 石炭需要は00年の24億石油換算トンから11年には37億2400万石油換算トンに平均年率4.1%増。天然ガスも00年の24兆1200億立方米から11年には32兆2300億立方米へと平均年率2.7%増です。

 08年の原油価格が顕著です。7月にはWTIが1バレル147ドルを記録。この高値で石油の信頼感が失われ、OECDの石油消費量は09年に前年比日量200万バレル減と大幅に落ち込んだのです。

 先進諸国では、地球温暖化対策で二酸化炭素排出減に努力したのも一因です。二酸化炭素排出が多い石炭が増加しましたが、これは排出規制を受けない非OECDの需要が急増したためです。とりわけ中国の増加が顕著でした。

「石油離れを決定づけたのは08年の原油価格急騰&急落です」

 先進国の石油離れ、非OECD諸国の需要増は今後も続くのでしょうか? イエスです。非OECD諸国は量的に14年にはOECD諸国を追い抜くかもしれません。先進国では減少が続きます。

「石油時代の終わりの始まり」です。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」』(稲泉連著・プレジデント社)です。詳細はこちらからどうぞ。

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2013年05月02日 (木)

原油はいつ枯渇するのか?

 1週間のご無沙汰です。藤澤です。この連休は超円安のおかげで海外を諦めて国内旅行に切り替えたのに、結局、海外に行った方が安かった、ということになると思います。格安航空券もハイシーズンではあまり役に立ちませんしね。円安で燃料費が高騰していますから旅行コストにも直撃です。

 さて、06〜08年にかけて、「ピークオイル論」というものが世界中で話題になったことがあります。

 ピークオイルとは、採掘している原油が枯渇するという意味ではありません。原油生産がピークに達して、その後は減少に向かうという意味です。

 原油生産が減少した例では56年にアメリカのシェル石油(メジャー)勤務の地質学者キング・ハバードが、「アメリカの原油生産は70年頃にピークに達してその後は減少する」と予測し、その通りになったので「ハバード曲線」として知られています(わが業界だけかもしれませんが)。

 ピークオイル論が盛んになったのは、原油価格が騰勢を強めた04年頃からでしょうね。

 04年にカナダ人ジャーナリストのリンダ・マクウエイグが『ピークオイル』(原題は、It’s the Crude, Dude: War, Big Oil and the Fight for the Planet)がベストセラーになりました。世界の原油生産量は04年をピークに減少すると予測したのですが、実際にはその後生産が増加したので、「2010年にピークを迎える」と再び警告しました。

 原油価格が高騰して、08年7月、NYMEXで市場最高値=バレル当たり147ドルをつけましたが、ピークオイル論はこの原油価格高騰を支えたといっていいと思います。

 将来は原油生産が減少し、中国やインドなどの新興国の需要が増えるから需給が逼迫する、という思惑(パーセプション)が投資家のコンセンサスとなったわけです。ただし実際は08年9月に起きたリーマンショックで価格は急落。年末にはバレル当たり30ドル台へと急落したことはご存じの通りです。

 サブプライム証券問題に端を発したアメリカの経済危機、そして世界金融への波及で、投資家は商品先物市場から一斉にマネーを引きあげました。

 別に7月に需給が逼迫していたわけでもなければ、12月に原油がジャブジャブになったわけでもありません。先物市場から投資家が消えてしまったからです。原油需給で説明できるものではありません。原油価格の暴落は金融要因でした。

 では現在はどうでしょう? アメリカのシェールガス革命、いまではガスよりタイトオイルと呼ばれる原油が生産されているので「シェール革命」と呼ばれていますが、アメリカの原油生産量はこれから急増するからピークオイル論はマスコミの話題にならなくなってしまいました。

 シェール革命についてはいずれ詳しくお話しします。

 世界の原油生産量を確認すると(業界ではバイブルのように看做されているBP統計では)、01年の日量7477万バレルから11年には日量8358万バレルと10年間で日量881万バレルも増加しています。日量881万バレルとは現在の日本の石油消費量の2倍以上です。

 原油の生成には有機説と無期説があります。

 有機説は、植物プランクトンや藻が地中に堆積してメタンガスを発生し、地下の熱や圧力で窒素、水素、硫黄などを含んだ高分子化合物になって、これが地中の高温で分解され、何万年以上の長い期間に液状の原油になる、というものです。

 無機説は、地球の深部にある炭化水素が地殻の断裂から上昇して油田を形成する、という説です。無機説では原油の枯渇はありません。埋蔵量は無限です。

 残念ながら、世界的には有機説が圧倒的に有力です。原油埋蔵量には限度がある、というのが主流です。
「そういわなければ原油値段が上がらないからでしょう」と中島さんは皮肉をよく言ってますが、真実はどこにあるか、皆さんも考えてみてください。オイル・メジャーでも、「あと何年もつか?」という問いには明確には答えていません。40年とか50年と一般にはいわれていますが、北極海にも原油はあるんです。

 問題は、埋蔵量があって生産は可能でも、ビジネスとして採算が合うか合わないかが問題なんですね。原油は出てきました。しかし会社は倒産しました。税金がべらぼうに高くなりました、では本末転倒です。

 埋蔵量と現在の生産量から考えますと100年分はあるかもしれません。当面、原油枯渇を懸念する必要はありません。

 なにより重要なことは、ピークオイル論よりも石油の需要です。増えるのか減るのか。これによって原油の消費速度が大きく変わるからです。
 次回はこのあたりについて少しお話したいと思います。

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カテゴリー:日本一の原油アナリスト藤澤治がズバリ直言する!「原油・シェールガス・資源の近い未来」

2013年04月25日 (木)

オイルショックは政府の演出だった。。。

 藤澤です。こんにちは。

 先週は先物市場についてお話ししました。今回はあの石油ショックの真実について語らせていただこうと思います。

 第1次石油危機は本当に危機だったんでしょうか? トイレットペーパー騒ぎはなんだったんでしょう?

 1973年のトイレットペーパーの買いつけ騒ぎを覚えている方もたくさんいらっしゃると思います。

 73年10月22日。大阪の千里ニュータウンで始まった買い占め騒ぎですね。これが燎原の火のごとく全国に広がり、トイレットペーパーだけじゃなくて、醤油、洗剤、砂糖などにも広がっていきました。

 実際には何も不足していませんでした。モノ不足の風評被害は大きかったですね。

 千里ニュータウンでオイルショックだ、石油が入ってこなくなる、石油関連商品が不足するぞ、という噂がクチコミで拡大したんですね。まさに風説の流布です。

 ときあたかも、10月6日に第4次中東戦争が勃発。10月17日にアラブ石油輸出国機構(OAPEC)が「アラブの友好国以外への原油輸出削減を決定」したことによります。

 原油価格の値上げが供給不安を世界にもたらしたわけですね。ちなみに日本は友好国にも敵対国にも含まれていませんでした。彼らの敵対国はアメリカ、オランダ、カナダでしたね。戦争そのものは、10月22日に米ソの仲介で停戦になりましたよね。

 11月22日、日本は油乞い外交のため、アラブ寄りの態度を鮮明にしました。これが第1次石油ショックです。

 ホントに日本への原油供給はなくなったんでしょうか?

 12月22日、日本政府は国民生活安定措置法、石油需給適正化法を発令します。74年1月から石油&電力の平均20%の供給を削減するというものです。国民への節約を要請したわけです。

 しかし実際には73年10〜12月の原油輸入量は前年同期比1.3%増だったんですね。

 そりゃ原油価格が高騰しましたから、日本経済は大打撃でしたよ。でも石油供給は止まらなかったんですから、あんなに慌てる必要はありません。

 当時クエート大使だった石川良孝さんは、「クエートやアラブ首長国連邦の石油相から、日本は心配しないようにと連絡が入っている。この旨、外務省に伝えたが無視した」と述べています(石川良孝著『オイル外交日記』)。

 結局、一連の大騒ぎは日本政府によってつくられた「石油ショック劇』だったんです。

 政府発表を鵜呑みにしたマスメディアはおおいに責任を問われるべきですよ。原発にしたってそうです。日本のメディアを信じたらバカを見るだけです。中島さんの「通勤快読」で正しい情報を勉強したほうがいい。
 
 この真相はあまり知られていません。石油は充分足りていた。途絶することもなかった。

 日本政府の情報戦略がいかにお粗末だったかです。いまでは日本政府も鋭くなっていて、グローバルな感覚を持った官僚も政治家も増え、関係各国との連絡は密になっているのでこんな無様なことはない、と思いたいですね。

 では原油供給が実際にストップしたら、今後、あのような事象が再び起こるんでしょうか?

 日本は、第1次石油危機後に発足した国際エネルギー機関(IEA)に参加しています。官民合わせて燃料油の需要200日分の石油(原油と製品)を持っています。

 まず、石油供給が7%不足すればIEAによる緊急融通システムが稼働して加盟国に原油が供給されることになっています。

 日本では、石油会社が製油所を稼働するために必要な最低必要分を45日分としても150日近くの在庫が石油備蓄法によって貯められているわけです。150日といえば5か月間です。中東で紛争があってもこんなに長く続くことは予想できません。
 中東原油がストップするとしても最長でせいぜい2〜3カ月くらいでしょう。

 産油国の立場からしても、原油収入がなければ国家財政に支障をきたすんですから、そんなバカなことはできませんよ。

 日本にはルートがいろいろあるんです。中東で紛争が起きたところで、いまではロシアとか東南アジアからだって輸入できるんです。日本の石油需要は、東日本大震災以後、火力発電用重油や原油は増加していますけど、ガソリンとか軽油、灯油などの白油製品は減少しています。

 国際的に考えてみましょう。中東から原油がストップしたら、日本よりもっと困る国がたくさんありますよね。発展途上国や新興国は石油備蓄体制が整っていませんからね。そういう国々ではホントにオイルショックになるでしょうが、日本にオイルショックはもうありえないと思います。

 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『じたばたしても始まらない 人生51勝49敗の成功理論』(稲垣博司著・光文社)です。詳細はこちらからどうぞ。



 
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2013年04月18日 (木)

先物市場ってなんだろう?

 世界には原油3大市場というものがあります。

 NYMEX先物市場ではアメリカ産のWTIが取引されていますし、ロンドンのICEでは北海ブレントが取引されています。ドバイには07年にDME(Dubai Mercantile Exchange)で中東オマーン原油の先物が上場され、現在、その市場規模はますます拡大しています。

 アジアでは原油取引の現物市場のハブとして有名なシンガポールがありますが、いままで先物市場が何回か設立されましたが、流動性が少なくて成功していません。
 あまりにも相対取引が多いですし、アジアの資金量が少ないからでしょうね。

 そのかわり、石油専門誌プラッツが1単位25000バレルというドバイ原油の取引市場を提供しています。先物市場でもあり、量がまとまれば現物の引き渡しも行われています。アジア向けの原油価格は、このプラッツの査定価格が指標となっているのです。

 シンガポールのドバイ価格は、ロンドンのブレント市場と連動していて、ブレント価格が上昇すればドバイ価格も上昇する、というメカニズムです。

 日本の石油会社が中東諸国から長期契約で輸入している原油はシンガポールで査定されたドバイ価格にリンクしています。

 結局、ブレントの先物市場がドバイ価格に影響を与えているので原油価格は先物市場で決まっているのです。

 石油需給が価格決定の主因とはいえ、原油はすぐには調達できません(欧州諸国がブレントを買う場合を除く)。野菜が足りないからスーパーで野菜の値段が高くなるのとは様子がちがいます。ここで強調したいことは、あくまでも現在の需給ではありません。「将来の需給」に対する思惑です。

 いま供給が需要を上回っていても、将来、逼迫するという懸念が少しでもあれば原油価格は高騰しますし、ある程度、需給が緩和して、これからは供給が需要を大幅に上回る(=かなり余る)と予想すれば価格は下がります。当たり前ですね。

 では、これから原油価格はぶっちゃけどうなるのか?

 原油の生産量はアメリカを中心に増加してますから中期的には下がります。

 12年に出版されたSalvatore Carollo著の『Understanding Oil Prices』という本があります。03〜10年までの32四半期を調べているのですが、うち19四半期は需給の関係で値段が変わったわけではない、という結論です。

 値段が上がったり下がったりする要因は、高品質ガソリンを生産する欧米製油所のレベルと投機マネーだ、とのこと。この意見を鵜呑みにするわけにはいきませんが、先物市場では投資銀行やヘッジファンドといった連中の影響は大きくなっているのが現実です。これは私のように毎日毎日、原油市場を分析しているアナリストの実感とも一致しています。

 需給要因と関係のない価格上昇を「実需無き価格高騰」と呼んでいますが、08年7月のWTI史上最高価格=1バレル147ドルはまさに実需無き高騰でした。

 次回は、かつて、この原油価格を舞台に繰り広げられた「日本政府の謀略」についてお話しまょう。

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プロフィール

中島孝志(なかじまたかし)
 東京生まれ。早大政経学部政治学科、南カルフォルニア大学大学院修了。PHP研究所、東洋経済新報社を経て独立。経営コンサルタント、経済評論家、ジャーナリスト、作家 (ペンネームは別) 、出版プロデューサー、大学・ビジネススクール講師等ビンボー暇無し。「キーマンネットワーク定例会」(33年の老舗)のほか、
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 講演・セミナーは銀行、メーカー、外資系企業等で大人気。全国紙をはじめ専門誌、永田町メディア、金融経済有料サイト、大手企業広報誌から宗教団体機関誌などの連載を20年以上続ける。
 著訳書は330冊。ほかに電子書籍100冊。大臣や経済団体トップなど政財界をはじめとした要人プロデュースは延べ500人超。読書は年間3000冊ペース。落語と宝塚歌劇、大衆演劇、そしてシャンソンの熱烈なファン。
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