2010年11月27日「ジェイムズ聖地へ行く」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 この映画、なんやのん。コメディ? シリアス? なにかの啓蒙映画? ま、そのすべてがないまぜになっとるんやねえ。

 主人公はアフリカのジェイムズくん。村いちばんの純真で敬虔なクリスチャン。村人から、あの子なら大丈夫、と太鼓判を押されて出てきました。

 どこに?
 
 イスラエルの東エルサレム。ご存じのように、ここはユダヤ教・イスラム教・キリスト教の聖地。ジェイムズくんが夢にまで見た憧れの地でやんす。 

 ところが正装していったがために、逆に、入国管理官から怪しいヤツとはねられちゃった。つまり、不法労働者と誤解されちゃったわけね。



 ここから人生の歯車が変わります。

 留置場から救い出してくれたのは、シミという男。金、かね、カネの典型的ユダヤ人。なにも助けてくれたわけじゃないさ。派遣労働者として働かせるため。

 フライヤになるな!

 けど、フライヤなのね。フライヤっちゅうのは、ヘブライ語で「他人に利用されるヤツ」とかいう意味なんよお。たしかに派遣会社のビジネスモデルって、望まれる人を望むとこに。で、ピンハネしてるわけでね。
 このシミという人材ブローカーがどのくらいピンハネしてるかっつうと、労働者の少なくとも4〜5倍は搾取してまんねん。

 アホらし。関西弁でいうわけないけど、ジェイムズ君。フライヤのみじめさを思い知るわけさ。唯一の価値である「労働力」すら正当に評価されず、こんなに搾取されるのか。アフリカ人はこんなにバカと思われているのか・・・。

 自我に目覚めたジェイムズ君。親方の裏をかいて、同僚のアフリカ人たちの副業を差配します。休みとかに派遣して稼がせるわけね。
 で、フライヤから抜け出して金儲けの愉しみを覚えるんだなあ。でもって、インチキ聖職者から「寄付」という名の合法的搾取にあうわけ。

 あれれ、東エルサレムはどしたん?
 いつ行くねん?
 それとも、あの女の入国管理官が言った言葉は正しかったのか?

「ここは神に見放されてるの」

 皮肉でんなあ。聖地こそが地上で唯一、神に見放された地だとは・・・。

 ジェイムズ君、聖地に行けまんのか? どないやねん。ま、そこらへんは映画観てちょ。
 ふ〜ん、そう来まんのか。なるほどなあ。