2013年05月17日シャープのこと。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 なんと5400億円もの赤字決算だとか。1000億円ほど赤字幅が増えた。社長交代のこの際、膿は多めに処理しておこうというつもりなのか。

 目のつけどころがシャープな商品を次々と開発してきたシャープ。堺工場への投資1兆円が裏目に出て、わずか699億円の出資云々でサムスンと提携話が取りざたされたけれども、商売人のテリーさんはシャープ株価暴落を見て取って、結局、3月末までに振り込んでこなかった。
「交渉は継続中」とシャープ首脳は話しているが、さてさて、どうなることやら。

 150円前後で低迷していた株価も、アベノミクス効果で直近では530円に跳ね上がっている。ソニー不動産の「数字のマジック」とちがって、シャープはガチンコの本業強化を図るしかない。

 私としては「下請けチャンピオン」のホンハイの傘下に組み込まれるより、ルネサスエレクトロニクスが救済されたように、「産業競争力強化法」適用第1号として、オールジャパンで再建を考えるべきだ、と思う。ま、安倍さんは参院選を直前にして大型倒産などさせたくはないだろう。
 どうやらシャープ再建の懸案であった「功労者」という名の「戦犯」もパージできそうだし、金融機関のサポートを得ながら再建の道を模索してはどうだろう。。。

 もち、負け組企業が債務減免で軽くなり、新生企業としてよみがえることに対して、なぜ健全経営の企業が苦労し、ゾンビ企業は楽できるのか、と怒り心頭の経営者も少なくないと思う。

 だが、勝ち組がすべてを独占して唯我独尊になるようなアメリカと日本はちがう。利益は薄くたって、同業者が熾烈な競争を展開しながら、それでいて雇用をしかと確保し、次の世代にリレーするところに、「この国のかたち」がある。国籍不明の企業とはちがうのだ。会社は赤字を垂れ流しているのに10億円近くの年俸を平気でかっさらうがりがり亡者の経営者などいないのだ。

 シャープの創業者は早川徳次という人物だ。あのシャープペンシルの生みの親でもある(100本しか作らなかった、という桐箱入りの元祖シャーペンを持っている)。

この人の人生こそ波瀾万丈そのものだ、と思う。

 幼少時に養子に出されたものの、あまりの虐待ぶりに泣き出す彼の声が不憫で、近所に住む盲目の老婆が許してやってくれ、と養母に懇願したという。そして、ある日、どう養母と話をつけたのか、彼を連れて遠く知人の家にまで出かけていった。そこは金銀細工の彫金職人で、彼はこのまま幼い住み込みの弟子となった。
 朝早くから遅くまで、家事手伝いから彫金見習いをする。もともと器用で聡明、真面目な態度は主人にも客からも愛された。お礼奉公の後に独立した。生来の研究好きで発明に凝る。水道の蛇口やベルトのバックルなども彼の開発だ。
 その後、「早川式繰り出し鉛筆」を開発する。これが世界最初のシャープペンシルである。

 その後、早川電機(シャープ)を創業するが、社長時代に毎月、某所に送金することが従業員に知られ、口コミで広まると、いつの間か曲解されて、「愛人を囲っている」という噂が一人歩きしてしまった。
 彼の人柄をよく知る人は否定するものの、かといって根拠はない。

 やがて彼が亡くなると、その送金先が老人福祉センターであることが判明する。

 ここまで自分がなれたのはあの老婆のおかげだと思っていた。お礼はしたくとも、それができる状況がくるまでに恩人は他界してしまっていた。そのことが心残りだった。そして思いついたのが、老婆と同じ境遇の人たちへの送金だった。彼にとって、老婆にお礼しているつもりだったのだと思う。
 この一時だけで、電機製品を買うとき、必ずシャープの製品から選ぶことにしている。私のケータイはシャープご自慢のEGZO搭載の最新型だ。間違ってもギャラクシーではない。


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