2016年06月29日後悔後を絶たずの英国民。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 「大英帝国は消えてもロンドンを第2の大英帝国にする」

 かつてルーシ(ロシア)をまとめ上げたイワン雷帝(4世)が「ローマ帝国は滅びてもモスクワを第3のローマにする」と、即位式でぶった演説を真似してみました。

 帝国ってのは、いろんな国を編成してるから帝国なわけでね、今後、分裂必至ですから帝国とはいえなくなりますわな。

 で、本日は日本のメディアではなかなかお目にかからないお話をしておきたいと思います。

 結論からいいますと、今回のEU離脱は英国民にとって結果オーライだった、つうことです。

 GDPが激減しようが、失業率が実は上がろうが、ドイツやフランスに従属するくらいなら「栄光ある孤立」という名の「やせ我慢」をしまっせ〜つうのが英国民のいいとこでね。いまどき、金勘定を無視して大義に生きるなんて「唐獅子牡丹」「昭和残侠伝」みたいでかっこいいじゃないっすか。

 止めてくれるな メルケルさん
 背中のタータン 泣いている
 孤立無援の ひとり旅
 ああ UKよ どこに行く


日本のシルバーなら将来世代を優先したでしょうね。


 いま離脱派は猛烈に後悔して、残留派と一緒になって、「国民投票やり直し」を求めたり、「ボケ老人の投票でしたんや、すんまへん」と投票無効決議を画策しとるようですが、そうなればなったで、真の離脱派は反対運動を繰り広げるでしょうしね。ムダなこってす。

 もうサイは投げられたんす。ルビコン川渡っちゃったんす。「悔い改めよ」とむかしの偉い人もいっとりますが、後悔先に立たずではなく後悔後を絶たずでしょう。

 でも意外と正解ではないかしらん、と思うんですよ。アメリカのような理性最優先の啓蒙主義ではなく、やっぱヨーロッパ人は感性最優先のロマン主義なんですね。

 今後、EUとくに独仏は加盟国が揺らがないよう(つまり、離脱キャンペーンが起こらないよう)、さっさと英国を追い出すと思います。ペナルティとしてやるわけですね。
 一方、英国は引き延ばし作戦に出るでしょう。離脱申請から2年つう猶予期間がありますからね。なかなか申請せず、粘りに粘る。まずはキャメロン辞職、そして新首相選挙、議会で法案を通してから・・・つう手続きですね。

 この間、英国の政治、経済、産業はオール地盤沈下。株価、国債、GDP、投資、失業率・・・どれをとっても史上最悪となります。

 「移民は許さん! 英国から出てけ!」「福祉、年金は移民なんかにやらんぞ」と叫んでた離脱派の皆さんも、中国同様、工場とか投資がどんどん引き揚げられるわ、金融機関は出てくわ、GDPそのものがドカンと落ちる現実を思い知ります。
 世界5位の経済大国も風前の灯火。格付けは少なくとも3段階は下がるでしょうね。そもそもあんなボロ国家がいままでアメリカと同じだったのがおかしいんです(昨日、S&Pは格付けを2段階引き下げました)。



 以前述べたように、投票は都会VS田舎、ヤングVSシルバー、富裕層・中間層VS貧乏人と真っ二つにわかれましたが、はっきりしてることは、スコットランドはEU残留絶対であり、第1党のスコットランド民族党は英国からの離脱を党是にしてますし、一昨年の国民投票では僅差で離脱できませんでしたが、今回は100パー離脱できるでしょうね。

 だって、スコ民族党は議会で圧倒的1位なんだもん。

 いまさらですけど、英国ってのは正確には「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国=UK」なんですよね。で、北アイルランドも残留支持でしたよね。

 大切なことは、アイルランド(英国から独立しちゃった南側の国)の使用通貨はユーロ。もちEU加盟国であることです。

 アイルランドと北アイルランドがどう違うかについて、詳しくは原原で解説しますが、ちゃちゃっと言うと、北はプロテスタントが少しだけ多くて、アイルランドは圧倒的にカトリックが多いんです(アメリカ映画でアイルランド出身者だと匂わせるために聖パトリックデーに参加してるシーンを撮ることが多いよね)。人口だってぜんぜん違いますからね。

 もし合併したら、つまり、北のプロを追いやって(追放しなくてもいいんですが、元もとスコットランドから移ってきたからね)アイルランドが統一したら、カトリック国家になり、いままで通り、通貨ユーロ、EU加盟国です。

 スコットランドって、私の大好きなスコッチの故郷でして、80くらい蒸留所があります。マッカランはハイランド・ウイスキーの典型だもんね。
 スコッティッシュはロンドンっ子とちがって人なつこいし親切で優しいんですよ。観光客にしても、ロンドンだと英国嫌いになるかもしれませんが、スコッチたとえばアバディーンあたりを旅したら大の英国ファンになりますよ。そのくらいちゃいまんねん。

 「腐ったミカンはさっさと取り出せ」とばかりに、独仏はミカン箱からすでにゴミ箱に移そうとしています。

 これからEUのあちこちで、英国に続け、ドイツの奴隷でいいのかとばかりに、われもわれもと離脱騒ぎが起きるかもしれませんが・・・実はウエルカムなんですよね〜。
 正直いうと、制度設計に失敗したんでいったんご破算にしたいの。「こんなはずじゃなかった。数ばかり集めて失敗しちゃった」つうのが本音なんです。

 さて、解散してどうするんでしょうか? 比較的ましな国家、すなわち、ドイツとかスイスせいぜい軍事国家フランス、勤勉なアイルランド、スコットランド・・・こんなもんで再出発したいんです。あとはいらんのです。

 幸い、「ゴミ屋敷の住人」のほうから出たい、出たい、と言ってくれてるんでね。内心しめしめ、と思ってるんでないかい?

 まとめますと、英国は中国と同じく、今後、どかどか投資が引き揚げられます。工場も消えるか大幅縮小します。イングランドとウェールズだけが残って、あとは離脱します。アイルランドは統統一します。

 ロンドンは? 金融のバチカンになればいいけどね。ま、香港ドル刷ってるHSBCとかタックスヘイブンつう「人のふんどしで儲けること」ばかり考えてきた連中ですからね。
 金融なんてどこでもできるから別にロンドンでなくてもいいわけ。大切なことはプレイヤーが集まるかどうか。いま、プレイヤーがどこに逃げるか算段しとるわけで・・・あかんわな〜。
 いまごろ後悔したってねえ。再投票なんて虫のいい話あるわけないしね。

 「ドイツにあれこれ命令されなくて済むぞ」と考えてたらあきません。

 サラリーマンでもいるでしょ、勘違い人間が。独立したらイヤな上司の顔色伺わないで済む、ってんで脱サラしちゃう。でも、独立したらもっとたくさんの人の顔色伺わなくちゃ生きていけないんですよね。そのときになってはじめて悟るわけ。

 「一人の顔色伺ってる方がどれだけ楽だったか・・・」

 EUは移民対策だって、シェンゲン協定ではなくダブリン協定を認めてくれたでしょ。英国はいつも特別扱いされてきたんですよ。EUへの上納金だって40%は返戻されてきたわけでしょ。こんなこと、離脱に投票した人たちは知らないんだろうね。

 英国っていつもこうなの。だから独仏から何と皮肉られてるか知ってる? ニックネームがあるんですよね。ま、それは宿題にしましょう。詳しくは原原でお話ししましょう。ドイツ人かフランス人が近くにいたら聞いてみてください。笑えますから。

 さてクイズをもうひとつ。スコットランド、アイルランドが離脱したら用なしになるのがあるんですけど、おわかり? 簡単です。明日のブログでお知らせしまひょ。



 肝心の米ドルの利上げはどうなるんでしょ? 「年内利上げ無し」と分析する人が増えてますよね。そら、黙っててもドル高になってますからね〜。「これじゃドイツ車に負ける!」と米ポンコツメーカーは勘違いしてますけど、為替に関係なく、とっくの昔に市場価値はないんですけどね〜。

 ポンドとユーロに対してドル高です。円はさらに高くなってます。金もドカンと上げています。金が上がっていちばん喜ぶのはだれでしょう? 中国ですよね。そのために金保有高をこっそり増やしてきたんです(以前のブログに掲載したよなあ)。
 ドル高になったら、アメリカは輸出が不利(はなから輸出するもんなんてないんだけど)になりますが、メリットは大です。だって、アメリカって輸入国家ですもんね(だから世界一の借金大国になるんだけど)。

 米国債、どんどん売りたいでしょう。今年から満期償還金は天文学的金額ですよ。。。だから利上げはある、と私は考えてますけどね。ま、あてにはせんといて。

 基本、アメリカはプロテスタントの国。カトリックではありません。判断基準は真逆なの。この話は複雑で深いので原原でしましょう。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「世界で突き抜ける」(竹中平蔵・佐藤航陽著・ダイヤモンド社・1512円)です。