2016年10月13日プーチンを徹底活用すべきだろうね。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 忘れないうちに、「通勤快読」ですが、iPhoneバージョンアップで一時、音声ダウンロードができなかったケースがありましたが、修正しましのでご確認ください。

 今日は大阪原原。明日は博多原原。ゲストは奥村眞吾先生です。お楽しみに。

 さて、昨日、トランプとヒラリーの一騎打ちについてお話しました。
 トランプの味方はだれか? プーチンでしょ。似てるモノ。つうことは、安倍さんとも合うよ。トランプは。

 昔、バカな政治家が、これから日本は中国とアメリカと二等辺三角形の付き合いをする、と公言したり、日本は日本人だけの国ではない、とわけのわからん演説を繰り返していましたが、アメリカとロシアの三角形はありえますよ。

 ロシアつうと、北方領土問題が立ちふさがりますけど、いまあの国が領土なんて欲しがりますかね。ロシアが困る唯一の問題は「日米地位協定」で日本の領土内ならどこにも米軍基地をつくれること。北方領土に米軍基地なんてつくられたらたまんない、つうことですね。

 けど、そんなバカなことは安倍さんもせんでしょう。ロシアと対立したくない。対立するのは中国だけでいいわけ。



 そもそも北方領土をソ連(ロシア)にやって日本と永遠に対立するよう、わざわざ「災いの種」を残したのはアメリカでしょうが。
 「四島一括返還にしろ。二島返還でいいなら沖縄は永遠に返ってこなくてもいいだろう?」
 ニクソンとキッシンジャーの嫌がらせですよ。日本がソ連と親密になることは虎の尾なわけ。

 今回は安倍さんが虎の尾を踏まずに日本の国益を主張したんだけど、アメリカへの「見返り」はありますわな。

 北方領土(歯舞、色丹、択捉島、国後島)の中でもとくに注視すべきは国後海峡ですわな。陸軍国ロシアが建国以来、一貫した悲願は不凍港を手に入れることでしたからね。日ソ不可侵条約を破って執拗に北海道を侵略しようとしたのも、不凍港が欲しいからです。

 国後島と択捉島の間にある国後海峡は冬期でも凍りません。流氷に邪魔されず、潜水艦や原子力空母、タンカーがすんなり通れるくらい深いんです。エリツィンも価値はわかっていたから、最後まで応じなかったわけでね。四島云々つうより国後海峡だけは渡したくないのよ。

 北方領土返還はロシアよりもアメリカの好意的中立という前提がなければ不可能ですよ。

 アメリカは戦後、日本、韓国、台湾に同盟関係を結ばせることもできたんですが、あえてさせませんでした。03年から始まった「北朝鮮問題に関する6カ国協議」にしたって、世界一の軍事力を背景に圧力をかければ北朝鮮を屈服させることは簡単にできますよ。でも、しない。
 なぜか? 中国にトラブルを背負わせたいからですよ。東アジアをつねに対立状態にしておくことがアメリカの国益だからです。

 領土問題から拉致問題まで、キーはアメリカなの。そのアメリカを動かす「梃子」がプーチンなのよ。これがキモ。

 プーチンにしてみれば、約束通りにしろよ、つうこと。これ、わかります? エリツィン以前のゴルビー並にしろよ、つうこと。
 元もと、「ワルシャワ条約機構を解散してくれたらNATOも同じようにするかんね」と、レーガン(当時の大統領)はゴルビーに約束してたの。けど、91年にゴルビー失脚。
 で、「ソ連時代の約束なんて覚えとらんがな」と新生ロシアのエリツィンに宣ったわけ。

 ここらへんが狡猾なアメリカの面目躍如。とことん狡いのよ。
 
 プーチンは狡猾だから、「約束を果たしたらどやねん!」と当たり前のことを言うてるだけ。

 で、先週、カリーニングラード(バルト海の飛び地)に「イスカンデルM」配備を決定したわけ。このミサイルは射程700キロ。ベルリンが射程内です。しかも固体燃料ですからね。あっという間に装填完了。北朝鮮のミサイルとは比べモノにならんよ。北は固定燃料技術が欲しいんだけど、ロシアはやらない。
 それだけでなく、ロシア緊急事態省が「核攻撃等の非常事態に備えて、全モスクワ市民を保護できる核シェルターを完備した」と発表しています。

 この2つのことから、プーチンは好戦派ヒラリーが大統領選に勝利する、と読んでるんでしょうな。

 ISに武器を供与していたことはヒラリーのメールで明らかになってます。アメリカの外交官が殺された「ベンガジ事件」はそのために発生した戦闘ですからね。これはオバマとヒラリーの大ポカであり、全米市民に対する背信行為ですよ。
 シリアのアサド政権打倒のためにアメリカはISを育てた。アサド政権を守るためにプーチンはISと反アサド勢力を殲滅しようとしています。
 ここで米ロは対立。次期大統領がヒラリーならロシアとはガチンコ対立します。もし攻撃するなら受けて立つよ、というプーチンの宣言ですよ。これは。

 さて、北方領土はロシアが実効支配してますから、日本の施政下にはありません。よって、日米安保条約は適用されません。千島・樺太交換条約のずっと後に結ばれたサンフランシスコ平和条約で、「日本は千島列島に対するすべての権利および請求権を放棄する」という文書に調印しています。時の総理、外務省条約局長、衆議院委員長がいずれも択捉島、国後島は放棄した千島列島に入っている、と述べている。ということは、戦争で奪い取るしかないの?

 いえいえ、経済力で実質的に支配してしまえばいいのよ。ハワイなんて日本の植民地じゃない。日本語は通じるし、日本料理はあるし、上院議員も議長も議員も日系人ばかりだし。







 いま、北方領土問題が解決しないと困るのは、日本ではなくロシアのほうですよ。シベリア開発にしても、日本の技術とマネーがなければなにもできんのだからね。

 ようやくOPECの原油減産にロシアも歩調を合わせたかのように報道されてますけど、元もと、年初にサウジとロシアは生産量を1月度の数字をベースに決めてたのよ。で、それがなんと日量1000万バレル超。つまり、「減産」なんていってもほとんどパワー全開。

 どこが減産なの?

 そもそも油しか売るモノない国が、値段を釣り上げるために減産で共同歩調なんてとれるんかいな。デフレ基調で設備投資が停滞してるのにさ。それに、いままでだって産油国の抜け駆けに自ら生産量を加減して価格を調整してきたのがサウジだったわけでね。
 本音は、虎の子のサウジアラムコ上場を直前にして、なんとかその時までは原油価格を少しでも高めておきたい。それまではシェールオイル潰しは開店休業つうことではないでしょうか。

 ま、そう思えば買いか売りかは自然とわかるわけで。原油高が続くはずがないよね。

 日本としては、死に体オバマ、別の意味で死に体ヒラリー、世界のメディアから抹殺されつつあるトランプよりは、プーチンなんだろね。北朝鮮は目ざといから習近平からプーチンにとっくにシフト。つうことは、拉致問題も含めてプーチンカードが大きくモノを言うということですな。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論」(エマニュエル・トッド著・文藝春秋・896円)です。