2017年03月16日「火花」の原点はこれだと思うんだよなあ。。。

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 2009年12月02日の「通勤快読」でこんな本を紹介してます・・・と書いてたら、なんと、TBSのゴールデンに本人が出てましてん。内容は「ベイブルース 25歳と364日」(高山トモヒロ著)のオンパ。

 共時性つうかなんつうか。セレンディップなんかなあ。





 で、「通勤快読」でどんなこと書いてたかつうと、一部をご紹介しますと・・・。


 打ちのめされた魂が、もう一度、立ち上がって、前を向いて歩き始めるようになる。そのためにはある程度の「時間」が必要ですね。
 その時間が数日単位、数週間単位で大丈夫という人もいれば、残り時間すべてをかけても癒されない、という人も少なくないでしょう。

 哀しみが深ければ深いほどダメージが強くて時間がかかるかもしれません。

 たとえば、同じ人生を歩む同志。夢を叶えようと苦楽をともにしてきたパートナー。相棒。ある意味、自分の分身。これを失ったとき、人は呆然、愕然、悄然・・・しばし立ち上がれなくなるかもしれません。

 さて、著者は漫才師。漫才はもちろん1人じゃできません。「相方」が必ずいます。

 著者のコンビは、NSC(吉本芸能学院)では「雨上がり決死隊」と同期。
 新人も新人。NSC出身ほやほやコンビだったにもかかわらず、いきなり関西の漫才賞を総なめ。テレビのレギュラー。ダウンタウンのあとはだれが見てもこのコンビが襲うことは目に見えていました・・・けど、94年10月31日、劇症肝炎で相方を失います。

 「明日が26回目の誕生日」という日が命日となってしまいました。

 相方の名は河本栄得さん。桜宮高校、3年間、野球部で血の汗を流した仲(阪神の矢野捕手が同級生)。コンビ名は「ベイブルース」。この伝説の漫才コンビが消えてから15年が経ちます。

 この11月29日。大阪のなんばグランド花月(NGK)でイベントがありました。題して、「25歳と364日 ベイブルースよ、伝説に」。
 雨上がり、千原兄弟、中川家、メッセンジャーなど、同期、後輩、先輩が河本さんの思い出を語るという趣向。820席満席。超人気で立ち見まで出た。


NGKでやりました。行きましたよ。

 みな、よお、覚えてる。このコンビ、一世を風靡したもん。実は、私、このイベントに行ってきたんです。
 
 この本の第1印象・・・文章が巧すぎる。ありとあらゆる漫才師、芸人、芸能人の本の中で、こと、文章についてはいちばん巧い。
 そして大切なことは、技巧も優れているけれども、見栄や外聞など、隠しておきたいことをよくまあここまでさらけ出して書いたなあ・・・と呆れるほど正直で無防備なんすよ。ある意味、アッパレとしか言いようがありません。

 「ご破算で願いましては・・・」という気分なんでしょうな。

 自暴自棄の時代はとっくに終わったと思う。後悔と自責はいまだに引きずっているかもしれません。けど、立ち上がって前を向いた。15年の時間が癒してくれたんでしょう。仲間が癒してくれたんでしょう。けど、やっぱり時間がかかりました。

 当たり前ですよ。

 「ぜひ映画化を」と帯コピーで千原ジュニアさんは訴えています。これ、すばらしい映画になりますよ、きっと。


 こんなこと書いてたのよね。

 サイコーの映画でしたよ。DVDも持ってるもんね。何回も見てるし。
 ただいまNHKドラマ『火花』に出演してる波岡一喜さんが高山さん役。『火花』では先輩芸人役で出てますけど違和感ありません。
 けど、どうしても『ペイブルース』を思い出してしまうのよね。

 『火花』は発売日に読みましたけど、あっ、『ベイブルース』だ・・・と正直感じてしまいました。しかも創作ではなくノンフィクション、ドキュメントでしょ。重みがちがうつうかなんつうか。ま、好みもあるし、氷河期の出版事情もあるでしょうし。大人の世界はいろいろありますわな。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「サイコパス 後編」(中野信子著・824円・文藝春秋)です。