2018年03月26日暴落の真因「急騰ドル建てLibor」をこの世から消し去るFRBの陰謀。。。

カテゴリー中島孝志のとってもいい加減な市場観測日記」

 株価下落が止まりませんね。ダウは週間下落幅1413ドル。リーマン・ショック直後の08年10月以来の大きさだとか。
 わが日経平均株価も連れ安で20617円まで下落しました。今日の寄り付きもいきなり大台を切って始まりそうですね。





 「企業業績は絶好調。失業率は4%台から3%台へと下がりそうだ。雇用者数も期待を超えている。物価も上がっている。利上げの条件はととのった」と、ばかりにFRBは先週0.25%の利上げを決めました。利上げ回数も年内3回から4回へと増えそうな勢いです。

 しかし長期金利は3%直前で足踏み状態。一頃の上昇エネルギーはどこに行ったのやらです。

 「トランプ政権の新スタッフを見れば反中勢力の揃い踏みだ」
 「関税強化で米中貿易戦争が始まりそうだ」
 「日本も関税強化のマトになっている」
 「米朝首脳会談にしてもどう転ぶかわからない」
 「トランプ自身、ロシアゲート事件の進展具合では風前の灯火では?」
 
 日本の新聞とかテレビではこんな情報が飛び交っています。つまり、「トランプショック」というヤツです。
 しかし、これらトランプ発の信用不安と・・・株価世界同時暴落、為替の乱高下、債券相場、金相場、原油相場の混乱などはそれほど強い相関関係はない、と私は考えています。それに「ロシアゲート」は完全なでっち上げ。いまごろ、本気で報道しているのは日本のメディアだけです。



 大減税とインフラ投資そして関税政策を繰り出したトランプは、ここに来てようやく「元もと考えていた人事」が予定通り完成し、これから君子豹変します。
 すなわち、北朝鮮を懐柔して、ミサイルと核をワシントンから北京に向けさせ、バノンが描いたシナリオ通り、プーチン、モディそして安倍さんとの「軍事同盟」によって中国封じ込め態勢を確立しようとしています。

 さらにいえば、トランプの本当の敵は北朝鮮ではありません。それは中国であり、世界の軍事、政変、紛争を仕掛けてきた軍産複合体です。
 彼らは戦争と紛争がなければ生きていけません。北と南そして日本は永遠に対立してもらわなければ武器が売れません。まして、トランプが北朝鮮を軍事攻撃を米軍に命じて殲滅してしまったら、お得意さんが消えてしまいますから商売あがったりです。

 戦争をやる気満々のトランプを押しとどめるのに必死だったはずです。



 「対話派のティラーソンやマクマスターなら北と衝突せずに交渉できる。ポンペオやジョン・ボルトンのような明々白々の好戦派では交渉できないのでは?」

 いえいえ、「対話派」といっても正体は永遠に紛争を仕掛けて金儲けをしたい連中です。平たく言えば「だらだら解決先延ばし屋」にすぎません。
 逆に、自他ともに認める「好戦派」をずらり揃えたからこそ、「トランプは本気だ!」と北朝鮮は気づいて、「体制の保証だけしてくれれば核を捨ててもいい」と妥協し始めたのです。
 
 ものわかりがいいヤツの裏の顔。知らないのは日本人だけです。

 トランプは既成秩序のデストロイヤーです。国務省の高級官僚人事の8割が滞ったままだと揶揄されてきましたが、これも確信犯。国務省=軍産複合体ですから、仕事=情報が流れないようにわざと抜いているのです。
 金正恩とのトップ会談にしても、外交を担当する国務省は蚊帳の外。だから、話が進んだのです。

 さて、2月5日、2月9日、3月1日、3月22日、23日の暴落はどうして起きたんでしょう?

 利上げによる長期金利上昇?
 世界を敵に回す高関税政策?
 対中圧力の報復=米国債売却不安? 

 私はそれらは「目眩まし」ではないかと考えています。では、そんな大騒ぎをしてまで隠したいことはなにか?



 Libor急騰。つまり、金融機関の経営不安=金融危機、それもリーマンショック級の危機ではないか、と考えています。

 Libor(3ヵ月物から12ヵ月物)とはドル建てロンドン銀行間取引利率のことです。とくに3ヵ月物は世界中で400兆ドル(4京円)もの金融商品の指標になっています。
 このLiborとOIS(無担保コールレート、FF金利)のスプレッドがいま拡大中です。しかもリーマンショック当時以来の拡大です。



 リーマン直後08年10月10日にはOISが1.15%。Liborは4.81%まで上昇。ということは、スプレッドは3.66%まで拡大したということです。通常、このスプレッドは最大0.5%未満ですから、リーマンショックで金融機関はお互いに疑心暗鬼に駆られていたことがわかります。

 リーマンショックまで、Liborなんてものはほとんど金利がつかないものでした。銀行間で融通しあっていたわけです。それが、自分の処の数字を見たら債務超過で実質破綻している。他社の同じだろう、と思えば、そんな危ない銀行に融通するには高金利でなければやりたくありません。

 疑心暗鬼で金利が釣り上がってしまったのですが、いま、それと同じ状態です。これからもLiborは上がります。
ところが、FRBはこの4月3日にLiborを止めてしまいます。Liborは問題が多い、信頼できない、だから、止めてしまう、というわけです。この時期に? タイミングが良すぎます。





 FRBは17年10月からテーバリング(資産縮小)をスタートしました。
 17年10月11月12月にそれぞれ100億ドルずつ、今年1月2月3月に200億ドルずつ・・・ということになっています。ところが昨年は10月末になってアリバイづくりのように少しテーパリングしただけ。9月4日から10月24日までダウは6%も駆け上がっていきました。日経平均株価はなんと11.7%の上昇です。

 当たり前です。

 外国人がこの1か月に投入した金額はなんと5兆円。今年は年始に大きく株価を上げましたが、あの時は2日で4851億円。いま日銀がETFに投資している金額が月間5000億円ですから、いかに外国人が買っていたかがわかります。
 残念ながら、外国人はそれから売り越しです。頼みの個人投資家が大きく買い越しています。

 年末3ヵ月、FRBが本気でテーパリングをしなかったから、長期金利は上がらなかった。株価は暴落しないで済みました。
 クビを宣告されたジャネット・イエレンは自分に成り代わって新議長に就任するイエスマン=ジェローム・パウエルのことなどてんで信用していません。
 だから、なにをしたか? クビ(2月4日)直前に300億ドルものテーパリングです。長期金利が跳ね上がるのも当然です。おかげで株価は暴落。1日の下落幅1600円。超弩級といっていいと思います。



 しかし、実は静かに目立たず進んでいることがあります。
 それが米国財務省による「大規模な国債発行」なのです。1日27兆円。FRBは資産縮小。財務省は資産拡大。
 どうして? トランプ政策には財源がありません。借金で減税し借金でインフラ投資し、借金で行政をまかなわなければならないのです。

 本当はドル高こそアメリカを救います。しかし、このままではドル指数がどんどん下落していくのも自然の理である、としか言いようがありません。

 FRBの動きばかりにとらわれていますと、テーバリング展開中なのに長期金利の上げが弱い。金価格まで上がるのはなぜか? ドル高ではなく円高になるのはなぜか? 不思議なことばかりですが、見る人が見れば当たり前の世界なのです。

 しかし、株価は上がります。それについてはまたいずれ。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「私がなぜ旅行作家になったか ー地球を歩いてみてー 後編」(森田勇造著・1,188円・幻冬舎)です。