2006年12月08日「悪名」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

♪ええ、さぁぁてはぁ、一座のぉ、みなさまぁえぇええ、ちょいと出ましたぁ、わたくしはぁ、お見かけ通りの若輩でぇえぇ、よぉおほぉおいほい♪
♪えんやこらせぇ、どっこいせぇ♪

 ご存じ、朝吉のテーマソング「河内音頭」。この映画でいきなり全国区。

「酒、あかんねん。なら漬け食うても顔真っ赤になりますんや」
「梅に鶯、松に鶴、朝吉親分ゆうたらこの清次兄さんや」

 勝新太郎と田宮二郎の絶妙のコンピ。これ、最高でしたな。
 この「悪名シリーズ」、なんと16作も続いた大ヒット映画。もちろん、私ゃ、封切りは見ておりません。小学生の時、正月の3が日に深夜映画でやりまんねん。これが楽しみでね。


田宮二郎はかっこええで。「白い巨塔」財前吾郎もはまり役!

 とくに贔屓は田宮二郎演じる「モートルの貞やん」。これ、好きやったな。
 第2作「続・悪名」のラストシーン。番傘さして格好いいねん。あっちから来たチンピラにドン。刺されて死にます。最後の言葉は「親分!」。泣けまっせ。
 けどね、第3作「新・悪名」で貞の弟・清次として田宮二郎は復活します。まぁ、当たり前ですわ。やっぱ、梅に鶯、松に鶴でっせ。

 鉄砲光三郎さん、ええですな。知ってる? 河内音頭の本家やで。菊水丸とはちゃいまっせ。「てなもんや三度笠」にも時々、出てましたな。
 好きでねぇ。鉄砲光子さんとおしどりで出てましたな。河内音頭の節回しって最高ですな。
 
 この映画、脇がとってもええねん。シリーズ最高傑作はもち、第1作「悪名」ですよ。シルクハットの大親分もいい味出してるけど、因島の女親分(麻生いと)が最高や。演じるのは浪速千恵子でございます(CM知ってる?)。

 朝吉が女郎(古いね、どうも)の足抜きをするわけよ。で、そのままふけちゃえばいいのに舞い戻ってくる。

「朝吉っつぁん。私はそこの帽子の親分とは少々わけが違うよ。覚悟しな。ついといで」
「馬鹿もんが。なんで帰ってきたんや!」と木刀でバシバシ仕置きします。
「負けへんど。わしのど根性がそうさせるんや」
 朝吉は耐えるわけ。

「もう疲れたわ・・・あんた、ええ男になるわ」

 この一件で朝吉の名前はこの世界にとどろきます。

 するとさ、偽者が出てくんだよ。朝吉は着流しでしょ。で、貞やん(清次)はスカジャンみたいなファッションやねん。だから、真似しやすいのね。

 シリーズ第6作「悪名市場」がそれ。
 芦屋雁之助、小雁兄弟がそっくり真似してあちこちの組から上納金をせしめちゃう。で、わらじを脱いだりしてね。もち、朝吉・清次の評判は地に墜ちます。で、本物の朝吉が偽者のところに潜り込むわけさ。
 この2人、根はいいヤツなのよ。けど、悪い奴らに踊らされ騙されてしまいます。
 その仇をとるのが、待ってました! 梅に鶯、松に鶴でんがな。
 ラストシーンは、河内音頭で最高潮に盛り上がりまっせ。

 原作は今東光、監督は田中徳三・森一生・増村保造。私はビデオでシリーズ16巻すべて持ってますが、いま、DVDセットが出てんのよね。第1作、第2作、第6作は要チェックだよ。見てね。


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