2007年05月30日銀行経営についての一考察

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 新聞は毎日、3紙ほどチェックしてるんだけど、個人的に今年いちばん良かった記事は5/24の日経新聞ですな。
 読みました?

 日本の大手銀行と外資系金融機関との対比が特集されてたんですけど、まぁ、結論は、日本のメガバンクの利益率の低さ、配当の低さ、純資産利益率の低さ、手数料収入の低さ、そして自己資本比率の低さ・・・ばかりが目立ちましたね。

 元々、メガバンクは個人(リテール)ではなく企業融資が中心だよね。しかも、大企業への融資中心。テラーのお客なんかゴミなんだからさ。
 けど、こんだけ競争相手が消えちゃうと(合併でね)、どうなるか? 融資独占で殿様商売ができるかといったらまったく逆。企業向け融資の金利引き下げ合戦の火蓋が切られてしまうわけですよ。
 おかげで、たとえ金利が上がっても貸出金利に反映できないの。

 バブル崩壊後のあの貸し剥がしを企業は忘れてないからね。融資に頼らずに設備投資ができるよう、資金は上場や社債の発行等々を通じて証券市場から調達するようにしてきたでしょ。
 
 さらに去年まで儲け頭だった消費者金融が一斉に業績悪化。
 まぁ、当たり前だわな。公的融資と低金利を背景に、それでいて高金利で融資して下流層を貪ってきた現代版シャイロックだもんね。
 にもかかわらず、純利益は史上2番目を記録・・・給料、ボーナスもウハウハ。新卒の大量採用もそうだわな。

 けど、この13年間で法人税を納めるメガバンクは住友信託銀行がはじめて、という現実。三井住友なんか、「あと4〜5年先ではないでしょうか」だって。

 失われた10年の間、メガバンクは支店統廃合やサービス低下、そして手数料を上げることで懸命に生きのびようとしてきたわけ。
 結果、支店激減。バンカメは5700、シティは国内3500、国外1600。三菱800、三井住友560、みずほ420。これでリテールを拡充しようたってねぇ・・・。

 けどさ、日本のメガバンクは弱いとこだけじゃないよ。強いとこもあんの。
 たとえば、宮沢、橋本という無能な内閣が「失なってきた10年間」に、0金利でたっぷり貯めた「キャッシュ」がドカンとあります。これが実はメガバンク最大のメリットなのよ。時価総額にも匹敵するほどの資金量ですよ。

 さて、一方では体たらくの超低効率経営。一方では時価総額にも匹敵するキャッシュ・・・「時価総額に匹敵する」という意味がわかる?
 こんな図体ばかり大きくて知恵のまわらない隙だらけのメガバンクを見たら、外資がM&Aに食指が動くのも時間の問題じゃないの?
 あなただったら、まずはどのメガバンクを狙う? 参考までに、収益力と株主還元(配当性向)がいちばん低いメガバンクは、三井住友なんだけどさ。