2012年02月12日「神に選ばれし無敵の男」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 ださいタイトルですなあ。「INVINCIBLE」という原題のままでえかったのにね。

 ティム・ロスが好きでして。彼の出演作は全部見てるの。で、監督したヤツも。で、何回も観ちゃうのよ。これもそう。

 以前、やっぱ好きな役者でスウェーデンの役者にミカエル・ニクヴィストという人がいるんだけど、で、このサイトでも『歓びを歌にのせて』つう作品をご紹介したと思います(フリーダ・ハルグレンという女優がええんだわ)。
 で、この人の出演作を追いかけてたら『ミレニアム』という3部作をすべて観たのね。いやあ、おもろいんですよ、これが。
 なんと、いま、日本で大ヒット。主演女優と監督まで来日してる『ドラゴンタトウーの女』という映画なのよ、これ。

 ま、んなこたあどうでもいいんですけどね。

 さて、この映画、やっぱいいっす。時代は1930年代初頭。これからナチスが出てくるというタイミングかな。で、舞台はベルリン。



 ティム・ロスはオカルト館のオーナー兼霊能者。で、ヒトラー政権でオカルト省の大臣になろうかというほどの人物。だって、この劇場のお客はドイツの上流階級ばかりなんだもの。もち、ナチス高官も来てますけどね。

 そこに採用されたのがポーランドのド田舎の怪力男。ユダヤ人なんだけど、「シークフリート」というアーリア人みたいな名前つけられて舞台で怪力振りを見せつけ、ヤンヤの喝采を浴びるんですけどね。

 あるとき、「自分の名前はちがいます。ユダヤ人です」と告白したから大変。劇場にいるナチスは非難囂々、ユダヤ人は拍手喝采。

 オーナーは怒り心頭。けど、翌日の公演でユダヤ人の観客が行列になってたんでご機嫌。

 ところが、船上パーティに問題の怪力男が来たことからトラブルが起こります。で、裁判になります。裁判でオーナーのティム・ロスの正体が明らかになります。

 というとこまでにしときましょうか。

 この船の中でベルリン警察署長も務める伯爵が後日、ナチス宣伝相になるゲッペルスに向かってこんなことを言うわけ。「どうしてヒムラーのような下品なヤツを入れるんだ」とね。

 続いてこんなことを言うのよ。

「カジノに行ったら日本人がいた。ゲームはせずに微笑んで見ているだけ。明け方、カジノが閉まる頃に50万マルクもの金を出して全額を黒に賭けた。チャンスは50ー50。みな押し黙り、ルーレットの玉が転がる音だけが響いた、そして玉は止まった。赤だった。彼は負けてどうしたと? その日本人はかすかに頬を赤らめて、微笑んでいた。これがナチにはない『粋』というものだよ」

 なるほどねえ。たしかにそうだわな。