2017年07月04日「メッセージ」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 なにか美味しいモノを食べた時
 あの人にも食べさせてやりたいな、と思う。

 なにかいい映画を観た時
 今度一緒に行こうよ、と誘いたい。

 どこかでいい景色を見た時
 今度連れてってやりたいな、と思う。

 だれかいい人に会った時
 あの人に紹介したら喜ぶだろうな、と思う。

 あの人の笑顔、喜ぶ顔が見たい。
 それだけで生きている価値がある。
 あの人がいるだけで十分。

 あの人が消えてからこの世の光が消えた。
 あの頃と同じように
 笑ったり感動したりはするけど
 伝えたい人がいない。

 この世でいちばん哀しいことは
 こういうことなのかもしれませんね。

 人はだれでもいろんな事情を抱え込んで
 生きています。
 だからプライベートはけっして聞かない。
 
 話す時機が来たら勝手に話すでしょうから。
 聞かないことも優しさではないか、と考えています。
 愛の反対語は憎悪ではなく無関心では?
 いえいえ、哀しみのどん底にいる人には
 無関心がいちばんの優しさなんです。 

 あえての無関心・・・。


10数年前、こんな哀しい質問を原原でしてたんですね。


 「HANNAH」は特別な名前。前から読んでも後から読んでも同じ。
 なぜあの時、HANNAHの宿題を見てあげなかったのか?
 「数学なら別れた夫(HANNAHの父親)のほうが詳しいから、彼に電話して!」と心ない言い方をしてしまった。

 タコの足に似てるから、彼らを「ヘプタポッド」と呼ぶようにしたけど、彼らは図形を吐き出す。これが言葉?
 「ヘプタポッド」の目的は? 地球への攻撃? 中国とロシアは核攻撃の準備に入った?
 
 彼らの言葉を読み解いて真意を探らなくちゃ。



 最愛の娘を失い、これ以上失うものは何もない。だから、どんな危険なことにも乗り出す覚悟がある、という女性言語学者が主人公です。

 人は子どもを持つことで人生観を変える、といいます。しかし、その子どもを喪うことはもっと人生観を変えることに繋がります。
 子どもは男女が愛し合った結果の産物ではありません。わざわざ、この人の元に産まれよう、と明確な計画をもってやってくる「ギフト(贈り物でもあり才能でもあります)」なんです。養子という縁で結ばれた関係もそうですし、人間だけ手に限らず、犬とか猫との関係も同じです。
 
 3000年後の地球も現在と同じ座標軸にある。過去は過去ではなく、未来は未来ではない。いま知った過去が未来に起こる。たとえそれがわかっていても、自分を愛することをやめないし、運命を受け入れよう。
 
 『Arrival』(邦題『メッセージ』)はアカデミー賞8部門にノミネート。まあ、たんなるSFだったら見ないでしょうね。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「東芝 大裏面史」(FACTA編集部・1,620円・文藝春秋)です。