2018年06月12日いよいよ米朝首脳会談が始まる。。。

カテゴリー中島孝志のとってもいい加減な市場観測日記」

 1日遅れですが、有料サイトの連載原稿を転載します。あちらは莫大な原稿料を頂戴してますので、あしからず。。。

 いよいよ米朝首脳会談です。いったんご破算になり、金正恩が詫びを入れて、再設定となりました。まあ、トランプに言わせれば「なにも変わっちゃいない」そうですけど。

 トランプと王岐山に挟まれ、金正恩も核武装解除をしなければならなくなりました。この間、トランプは側近を何度も半島に送り込んで交渉しています。
 金正恩は核を離したくない。離したら最後、リビアのカダフィと同じ運命になってしまう。カダフィの失敗はアメリカを信じたことでした。

 渋る金正恩を決断させたのは「脅迫」です。しかも「会談1回目で核放棄を表明しなければ戦争も辞さない」というトランプの本気です。


利害が一致した2人。

 そもそもトランプは北朝鮮と戦争する気でいましたから。いまでも意に染まなければ決裂させるでしょう。そして一両日に全面攻撃に移るはずです。

 金正恩にしてみれば、トランプに外交は通じない。いきなり最後通牒=戦争に出てくる、と悟りました。ですから「全面核放棄」とせざるをえない。段階的に放棄するのではなく、もったいぶらずに1回目で全面放棄です。

 これがトランプの命令です。もう「人質(あの韓国系米人たちはスパイでした)」はいませんから。

 同時にトランプはアメも与えています。すなわち、「経済支援」「在韓米軍撤退」です。

 そして、その前に「朝鮮戦争の終結」です。朝鮮戦争の停戦合意は中国、国連そして北朝鮮の間で結ばれましたから、終結するのも中国、国連そして北朝鮮の代表による決議、署名が必要です。いくら米軍が主体とはいえ、国連軍(韓国駐留)との戦いでしたから、終結にも国連(安全保障理事会)が必須です。

 さて、わが国と北朝鮮との間には経済支援云々という商売の話題とは別次元で「拉致問題」があります。金正恩が何度も「解決済み」と主張する真意は、蒸し返すには「手数料が必要だぜ」ということです。

 日本という世界最大の金持ち相手に、いくら先代の金正日が指示した国家的犯罪だとしても、戦争能力はあれども戦争できない国は完全に足下を見られていますし、金持ちは金持ちらしく「金」で解決するしかありません。

 1960年の日韓基本条約で北朝鮮分まで賠償金は支払い済みですが、南北朝鮮を相手に交渉を続けても、慰安婦問題と同じで何世紀経とうと解決できるはずがありません。

 古今の歴史をさかのぼっても、半島を黙らせるには「力」か「金」しかありません。(軍事)力を持ち出せなければ、(金の)力で押すしかないのです。後日、中国よりも高品質の資源を確保するか、世界一安い労働力を活用するなど、北朝鮮ビジネスで回収すればいいのです。

5年前に言っていたように、新潟は買いでしょうね。日本--朝鮮の日本海ルートは新潟が中心になるでしょうから、当選したばかりの新潟県知事は小池都知事よりも注目されることになるでしょう。
 港湾、流通、倉庫など、北朝鮮から韓国へというルートだけでなく、中国、ロシアさらにはシベリア鉄道経由で東欧から西欧への基地になるはずです。

 ところで今回、「1回目の米朝首脳会談中止」という「やらせ」も含めて、トランプと金正恩が協力した理由はなんでしょぅか?
 それはお互いの共通の敵=軍産複合体+国際金融資本を欺くためです。

 大統領選挙選時から大統領当選、大統領就任、さらには最近のロシアゲート問題にいたるまで、トランプを邪魔してきた勢力です。

 この連中にとってベストは「現状維持」です。米朝首脳会談が不首尾に終わってくれれば、北朝鮮と、韓国そして日本は相変わらず敵対関係にあり、在韓米軍も在日米軍も撤退せずに居座り続けられます。恒常的に儲けられます。

 かつて「シリアから米軍撤退!」とトランプが発表するや、シリアが化学兵器を使用したと決めつけて現場の軍は攻撃を始めました。アフガン撤退を発表したときも同じ。理由をつけてはアフガン軍を攻撃し、4000名の米兵増員までトランプは認めざるをえなかったのです。



 もしかすると、米朝首脳会談の間にも軍産複合体は北朝鮮でなにか仕掛けるかもしれません。たとえば、金正恩がシンガポールにいる間に「クーデター」とか。
 金正恩はトランプに脅かされて、あまりにも性急に軍部から党へと権力移行を早めてしまいました。軍部のメンツは丸つぶれです。
 クーデター阻止のために、わざわざ金正恩は大連に習近平を訪れるしかありませんでした、中国は全面的に金正恩をサポートするはずです。





 トランプの政策は何度も言ってますが、「金融政策=FRBによる金利政策」から「財務省による財政政策(法人税減税、インフラ投資、関税、レパトリ減税)」への転換です。今後も中国、日本、NAFTAそしてEU(ユーロ)のすべてに貿易交渉、関税交渉を仕掛けてくるはずです。
かつてのように、ショバ代として米国債を購入し続ければ大目に見てくれることはなくなります。「貿易黒字にする、経常赤字を減らす、知的財産権とFintechで稼ぐ!」とトランプは決めています。

 アップルとはとっくに交渉済み。バフェットの大規模投資云々、売れないケータイを売るための中国製を排除する云々については書きましたので繰り返しません。





 同時にいま対立しているかのように見えるアマゾンも今後、トランプと手打ちするはずです。アップルと同様にレパトリ減税の恩恵でアメリカ国内で採用を増やしていくはずです。 

 フェイスブックについては、キッシンジャーのスポンサーともいうべきデイビッド・ロックフェラー亡き後、まるで潰そうとでもするかのようにトラブルが多発しています。おかげでユーザーが逃げています。これについてはトランプがどこまで助けてやるか、わかりません。

 どうしてシリコンバレイばかりがもてはやされてきたのか? 全米に起業家は山ほどいるのに、なぜかシリコンバレイの起業家ばかりが成功する。しかもIT産業ばかり。
 それは芽のうちから投資し、モノになりそうだと判断したら1社に絞り込んで成功させて世界一の企業にさせる。すべて国務省と防衛省、言い換えれば、CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)、DIA(国防情報局)等がスポンサーならではです。目的は? 言うまでもなく、世界最大のハッカーがアメリカ(とイスラエル)であることから推定できるはずです。





 べた凪のVIXを背景に金価格は1300ドルを境に行ったり来たり。ですが、少し俯瞰してみれば、FRBが利上げをはじめた2015年以降、6回の利上げでも30%の上昇をみています。
今後、イタリアがこのまま進むとは思えませんし、火薬庫はドイツ銀行です。
 トランプ自身、ダイナマイトを身につけて政治をしています。しかも彼ほど世界中で嫌われている大統領も珍しいですから、いざ、アメリカがなにかの拍子(たとえば、中国による米国債売却等による金利高騰など)金融危機となった時、だれも助けはしないでしょうし、助けられるレベルではありません。

 さて、この7月から私は「投資研究会(ぴよこちゃん倶楽部)」を新たにスタートします。ようやく、ここに来て、日経も「インデックス投資から銘柄投資に注目すべきでは?」という話題を書き出しました。
 どんなにNK225が暴落しようと上げに転じている銘柄があります(たとえば2月5、6日の2日間で1500円も暴落した時すら上げていた銘柄が2つあります。なんだかわかりますか?)。ここ数日の下げでも高値更新を続けている銘柄もあります。






 これまた、「業界ではなく個別銘柄を選ぶべきでは?」と日経が書きました。当たり前すぎて驚いてしまいます。
 事実、デフレ脱却がなかなかできず、さらに賃金の腰折れで物価上昇も厳しくなりましたが、スーパー、コンビニでも勝ち組負け組があります。勝ち組には株価が上昇するだけの理由があり、負け組は下落するだけの理由があります。

 IPO銘柄でも同じです。上場時に売り抜いて一瞬だけは儲かるでしょうが、ほんとうに投資していい銘柄かどうかはその後です。買うべき株価がありますし、売るべき株価もあります。

 さあ、潮目が変わります。


 今日の「通勤快読」でご紹介する本は「『年金問題』は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識 後編」(高橋洋一著・864円・PHP)です。