2007年09月24日「偉いぞ!立ち食いそば」 東海林さだお著 文藝春秋 1150円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 いい本、見っけ。こういう本、大好き。もうタイトル見ただけで条件反射で買っちゃう。
 立ち食いそば・・・最高じゃん!

 けど、「立ち食いそば」に関する内容は3分の1しかないのよ。でもね、これで十分。もう元は取りました。満喫しちゃった。

 著者の東海林さだおさんといえば、「週刊文春」で連載してますよね。で、この本もそれをまとめたヤツ。
 でもさ、「偉業」を達成しようと考えて、「富士そば」のメニュー全制覇を思いつくとこなんざ、いいねぇ。鯔背だね、伝法だね、粋だね、オシャレだね。

 富士そばといっても、都内の人しか知らんかもね。首都圏にはホントに多いの。都内を中心に全国66店舗。日本一なんだよ。
 で、まずはかけそばからスタート。次、きつねそば、たぬきそば、春菊天、玉ねぎ天、ちくわ天、コロッケ・・・。

「結論を最初に申し上げる。
 コロッケそばは大変おいしい。
 立ち食いそばの傑作である。」

 その通りなのよ。
「えっ、そばにコロッケ? 気持ち悪ぃ」なんて人が時々います。
 ったく、こんな田舎もんに食わしたくないね。コロッケとそばのコラボは、20世紀最大の発明じゃないか。

「最後の晩餐」にはならないけど、「最後の晩餐シリーズ、カウントダウン30連発!」という企画があったら、確実にどこかに食い込んじゃうはず。
 そんだけの勢いちゅうかパワー、魅力がコロッケそばにはありますねぇ。

 ただし、ただしだ。コロッケそばのコロッケはカレー風味でなきゃいかんのだな、これが。
 普通のコロッケじゃダメ、とは言わないけど、カレー味、カレー風味だともの凄くパワーアップ。1翻上がっちゃう? とんでもない。ただのリーチ+七対子が一発ツモで裏ドラが2個乗っちゃった(ハネ万だよ!)。

 さて、東海林さんが通いつめたのは西荻窪の富士そば店(南口だろうな。私も何回か食べたことある)。
 ところが、挑戦中に工事になっちゃった。工事が終わったら立ち食い店から全席椅子店になっちゃってた。で、全制覇チャレンジ中止。だって、「立ち食いそば」に意義があるんであって、座り食いそばじゃねぇ。残念無念!

 ところで、私が立ち食いそばと出会ったのは小学5〜6年の頃。B級グルメでも紹介したあの「箱根そば(小田急線沿線でお馴染み)」ね。
 美味しかったなあ。かけそばが60円。いまとちがって、かけといっても、天かすは入ってるし、ねぎは入れ放題だしね。そばが見えないくらいネギをドーンと入れちゃう。もう、てんこ盛り。ねぎの使いすぎで店が倒産すんじゃないかっつうくらい入れちゃう。
 で、嬉しいことに、いまとちがってコロッケが2個入ってた。

 東海林さんは、立ち食いそばの美学というか、ルールというか、店の人と馴染みにならない。食べたらそそくさと出て行くというスタイルだけど、中1の時、私は同級生とほぼ毎日通ってたね。
 その店、バイトの女子高生が可愛くてね(欽ちゃんの野球チームにいるあの女の子そっくりだったなぁ!)。名前も知らない娘だったな。まっ、ミヨちゃんにしとこうか。

ミヨちゃん「コロッケ?」
私    「うん」
ミヨちゃん「好きなんだね、コロッケそば」
私    「うん」
ミヨちゃん「だって、毎日だよ」
私    「うん」 

 日曜日だと1日2回行っちゃう。浮き世の義理っつうの、友人がその娘に一目惚れしちゃってね。私ゃ、そのつき合いってわけよ。
 ほら、コロッケそば嫌いじゃないから。つうか、大好きだから、私もほいほい通っちゃう。で、そば食べながらよくしゃべってた。

 箱根そばの場合、どうも3種類に分別されるんだよね、流派が。微妙にというよりもかなり味が違うわけ。
 たとえば、私が「裏千家」と命名してる箱根そばは南林間駅(構外)、下北沢駅(井の頭線との通路)、町田駅(構外)・・かな。
 この前、藤沢駅構内で食べんだけど、ここは「表千家」でね、やっぱ味が微妙にちがうんだよ。コロッケそばにわかめ入れんじゃないよ(コロッケそばは個人技なのよ。トッピングはいらないの!)。味、変わっちゃうんだから。
 参考までに、新宿駅(構外)の店は「武者小路千家」。上品なんだけど食べない。

「富士そば」は、神奈川県内には伊勢佐木町は有隣堂本店の向いにあんの。ここしかない。でもって、やっぱ椅子店。カツ丼もあんだよね。
 サラリーマンの味方、立ち食いそばに幸あれ。300円高。