2013年07月16日田舎政治家。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 今日で東京原原は修了です。1年間お疲れ様でした。
 大阪メンバーの参加もありますが、日本一の原油アナリスト藤澤治さんを招いてのダブル講義です。パワポたっぷりのわかりやすい講義です。エネルギーとシェール革命の話。原油投資のからくりなど、目から鱗のお話が満載です。お楽しみに。

 さあ明日から第13期メンバーの募集スタート。年1回ですのでよろしくで〜す。

 参院選挙真っ盛り・・・のはずなんですけどね。私の近くではどこも選挙演説なんかやってませんね。候補者の皆さんも暑いからね。熱中症で倒れたら元も子もありませんわな。

 それにしても、こういう田舎議員が跋扈してるから、中央官僚は地方自治なんてさせたくないんだろね。

「こんなヤツに予算を与えたら無駄遣いするに決まってる。モノの価値、とくに情報の価値がわかってない。猫に小判、豚に真珠。われわれ中央のエリートが差配してやるからそれまで待ってなさい」

 もち都会にだって情報の価値をわかっている人はめったにいませんよ。主宰する原理原則研究会など、大枚払ってよく参加してると思いますよ。主宰者に似てよっぽど奇特な人なのか、けど、情報価値はきちんとわかってますわな。

 これが田舎の場合、「情報=無料」と思ってます。呆れるくらい情報感度が鈍いんです。ああ、過疎は過疎でも「情報過疎」なんだ、と考えざるをえません。

 で、こういう田舎議員を見つけてしまいました。単純というか、裏=真実を知らないというか、不勉強というか、ま、地元では人畜無害の善人なんでしょう。

 このセンセが視察したのは「サンディ・スプリングス市」です。で、「地方自治体の考え方が日本と違う」「政治家も行政も合理性に徹している」「民主主義の先進国アメリカの行政システムには学ぶ点が多い」と報告してるんですね。

 ま、視察ではなく観光気分。予習もしない「おのぼりさん」にはそう映るんでしょうな。

 この「サンデー・スブリングス」という「民間自治体」はとんだ食わせ物でしてね。年収1500万円超の連中がつくらせた自治体なのよ。いわゆる「ゲイテッド・ソサエティ」てヤツ。
 門番がいて、病院も学校もスーパーも映画館もなんでもあります。なんなら生まれてから死ぬまで門から出なくても生活できます。人口10万人くらいかな。

 どうして、こんなもんができたのか?

 税金を1セントたりとも貧困層の福祉やサービスに遣わせたくないからです。自分たちが収めた税金はすべて自分たちのために遣え、という意識が徹底されています。

 いま、全米でこの「民間自治体」はブームになりつつあるわけ。さて、どうなります?

 このセンセは現地で6人しかいない雇われ議員と面談してもまったく気づかなかったようですけど、あなたならわかるでしょ?
 アメリカは国家だけでなく、地方の経済破綻、行政破綻はよりいっそう加速しますよ。お金持ちの尊い税収を再配分することでのみ、貧困層は月間11万円のフードスタンプ(「SNAP」といいます)を恵んでもらえるわけです。これがなければ彼らは生きていけません。

 オバマは大統領選挙に勝つためにこういう層を隣のメキシコからどんどん移民させました(いまも続いています)。で、国籍もとらせる予定です。おかげで1200万人の有権者がオバマに投票しました。

 かつてGMの本拠地として名をはせたデトロイトなんて、この10年間で25%も人口が減っています。ゴーストタウンですわな。

 全米でヒスパニックがどんどん増えています。黒人よりも頭がいいしまじめ。だから彼らの仕事を奪います。しわ寄せはいつも黒人層に来るわけ。でも、金持ちから見ればどっちも税金で生きてる寄生虫。

「こんな連中いくら助けても役には立たない。永遠に厄介者になるだけだ。どうして俺たちの税金をヤツらに遣うんだ? 税金は俺たちのために遣え。あいつらも働かせろ」

 その働く場がないんですよ。

 金融機関や大企業、投資家たちがボロ儲けするなか、リーマンショックなどで経営破綻したり、買収されたりして、職場がどんどん消えてなくなりました。黒人層の職場は移民に奪われてしまいました。NAFTAでメキシコの富がアメリカ企業に奪われた結果、失業した人たちです。まわりまわって不法移民に職場を奪われるとは皮肉なことですな。

 で、軍事と警察、消防だけは利用させてもらうけど、そのほかのサービスは雇われ議員と雇われ役人を用意し、すべて民間に委託する、という民間自治体をつくっちゃった。

 アメリカは州だって合衆国からいつでも独立できる、と憲法で保障されていますからね。金持ちは税金を貧困層にかすめ取られないように防衛行動に出たわけです。

「地方自治体の考え方が日本とずいぶん違う」「政治家も行政も合理性に徹している」「民主主義の先進国アメリカの行政システムに学ぶ点が多い」だとさ。
 どこが地方自治体なの? 合理性? 民主主義? 社会とか相互扶助、助け合いとか福祉とか、一切なんにも考えない、ただのがりがり亡者じゃないっすか。

 日本の自治体はどうですか? 議員は6人じゃありません。無能でもたくさんいます。役人も6人じゃありません。だから、なにをやるにも手間暇がかかります。

 なぜか? 民主主義だからですよ。

 アメリカは民主主義ではありません。「民主主義じゃない」とようやく気づいて、99%が怒り始めてるわけでしょ。アメリカ政府は世界最大のヘッジファンドです。投資家はウォール街と多国籍企業。つまり、ホントはアメリカの国益より自分たちの利益優先なんです。
 
「アメリカでは民間にできることは民間に任せるという考え方が徹底しています」だとさ。

 民間に任せるから利益最優先になるわけでしょ。いまアメリカでは州経済も破綻しています。破綻すると「非常事態管理法」を宣言してリスクマネジャーを指名します。するとすべての権限がリスクマネジャーに委譲されます。役人も警察官も教師も清掃人も徹底的にリストラされます。リストラされなかった人にしても仕事はありません。すべての行政をリスクマネジャーが指揮しますからね。

 徹底的に予算を削減します。警察も消防も教育も止まります。強盗で警察に電話しても3日くらいしないと来ません。放火されても丸焼けになるまで消防車は来ません。だってリストラされちゃってるんだもん。
 
 日本の政治の哀しさは、地方はもちろん、国政もこういうレベルの議員が跋扈してることなんでしょうな。国民がしっかり勉強して監視しないとね。


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