2007年07月31日「マイハート、マイラブ」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 「おい、拍手はないのか? 40年だぞ、40年。奇跡なんだ」
 「それがわかっているのは、この中で私達だけよ」

 ここはロス・アンゼルス。今日はテレビプロデューサーの夫(ショーン・コネリー)と料理研究家の妻の結婚40周年記念のガーデンパーティ。

 物語のラストはこれに繋がって進むわけ。典型的なアンサンブルドラマ。テーマ? そりゃ、やっぱ「愛」だろうねぇ。


何回も観ちゃうね。私、本とかDVDってさっさと処分しちゃうんだけど、これは残してるんだよね。


 脚本がものすごくいい。だって、監督・脚本は『恋愛小説家』のウィラード・キャロルだもんなぁ。
 それと、ビジネスとしても半端じゃなく巧い仕掛けになってる。
 だって、これ、6つ、数え方によっては7つの「愛の物語」が同時進行的に編まれてるわけ。年齢もスタイルもぜんぜん違うカップルだからね。見てる側とすれば、どれか1つに共感すれば、ほかのドラマはすべて伏線として観られるわけよ。
 これ、アンサンブルドラマのメリットね。

 大人の童話? それとも、千一夜物語?

 キャスティングがなんとも贅沢と来た。ショーン・コネリー&ジーナ・ローランズ、マデリーン・ストウ(セフレはアンソニー・エドワーズ)&デニス・クエイド、ジリアン・アンダーソン&ジョン・スチュワート、アンジェリーナ・ジョリー&ライアン・フィリップ。
 でもって、ジェイ・モーア&エレン・バーステイン(これは母子愛だけどさ)、ほかにちょい役でナスターーシャ・キンスキーまでご登場。

 カップルとして1つ1つの愛の形がユニークなだけじゃなくて、1人1人のパーソナリティが個性的なのよ。こりゃ、スペインの無敵艦隊だぜ。

 そんなかでも、私ゃ、やっぱ、アンジェリーナ&フィリップ組かな。で、個人的にはデニス・クエイドだなぁ。
 この役、ウケるよなぁ。演劇教室の宿題で、毎晩、バーに行ってはキャラの違う男になって居合わせた女を騙しちゃう。少しパラノイアのかかった役は面白いよね。

 「実生活でのウソより即興のほうが巧くなってしまった」

 監督自身、彼の演技の時は照明もわざと暗くして撮ったらしいかんね。心の陰影が透かし彫りになってておもろいわけよ。
 
 「どの役やりたい?」と俳優に聞いたら、女ではアンジェリーナ、男ではこれで決まり。
 というほど、この映画のアンジェリーナは儲けものだったと思う。

 彼女の主演映画に『GIA』という実在のモデル(女性エイズ患者の全米第1号)を演じた作品があんの。見事な脱ぎっぷりで、その肢体たるや垂涎でそそっちゃう(このスケベ親父!)んだけど、こっちの彼女のほうが全然いい。

 尖ってた女が魂で共感できる男(=ソウルラバー)と出会ってさ、だんだん可愛い女に変身してくんだ。極々自然体、等身大で演じてたと思うよ。

 『アンナ・カレーニナ』の中に、「幸福な家庭はどれも似たようなものだけど、不幸な家庭はそれぞれに不幸だ」という有名な言葉があんだけど、この作品で描かれた愛の形はそれぞれにユニークで独特でしたよ。
 アメリカのカップル(夫婦、恋人)の愛はこの6つ、いや7つの愛の形に収斂されるんじゃないかな。どうだろ?

 どうでもいいけどさ、ジョン・スチュアートって羽賀研二に似てるよね? 私だけ?


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