カテゴリー:不良オヤジ日記

2007年11月09日 (金)

サブプライムローン問題はこれからが本番!

 捕らぬ狸の皮算用。日本のバブルそっくり。まるでペストの広がり方。
 今回のサブプライムローン問題を表現するとこうなるかな。

 この問題、今後の世界経済を左右しかねないんで、ここでちょっと整理しときましょう。

「去年の2月頃に問題には気づいていた。しかし、ここまで影響が広がるとは考えてもいなかった」
 アラン・グリーンスパン前FRB議長の発言です。

 どうかな?

 というのも、カリフォルニア等々では住宅債券の焦付きは去年2006年の1月にはデータで上がってましたからね。しかも、どんどん延滞債権が増え、日を追うごとに差し押え件数の記録更新という事態だったことは当局もつかんでいたはず。
 無理かなぁ。バブルって崩壊しないと気づかないもんなぁ。当局が注意を喚起しても焼け石に水かなぁ。

 住宅バブルが弾けた瞬間、サブプライムローンがアメリカ経済の息の根を止めることはわかっていたはず。
 だって、このビジネス、右肩上がりを想定したビジネスモデルだから、住宅価格がストップしたり、まして下落なんてしようものなら終わりなのよ。

 アメリカの住宅ローン残高ってのは2000兆円あんの。
 で、サラ金の延滞履歴もなく、信用度が高い人=プライムローンが8割。延滞履歴があったりして信用度の低い人=サブプライムローンが1割。残りの1割は中間レベルの人。
 つまり、サブプライムローンの残高ってのは200兆円なのよ。日本の国家予算の2.5倍くらいか。
 で、600万世帯、2000万人が借りてるわけ。

 さて、このローンだけど、最初の2〜3年は金利が4%くらいに抑えられてるわけ。もし3000万円(平均住宅購入価格)を借りたら年間120万円=月間10万円の返済? これなら、夫婦共稼ぎでなんとか支払える範囲だよね。

 ところが、サブプライムローンの怖さは、金利がその後10%〜15%に跳ね上がるんよ。日本の住宅ローンに「ステップローン」という商品があるけれども、まさにあれね。
 だけど、しょうがないじゃん? だって、延滞履歴のあるような人にお金を貸すんだよ。高めに利子を設定しないと銀行だって取りっぱぐれるもんなぁ。
 すると、年間300〜450万円=25〜40万円にもなっちゃう。もち、これは利息だけの話。+元本を返済しなくちゃいけない。

 「これだけの利子(お金)を払うんだ!」とわかってれば、安易にサブプライムローンを組むことはなかったかも。延滞するってことは貯金も不十分で下手すっと自転車操業かもしれないよね。
 
 なんで、そんな人がサブプライムローンに飛びついたの? 理由があんでしょ?

 それが住宅の値上り益狙いなのよ。最初から家族で住むためという目的じゃなくて「利殖」だったの。

「いま買えば、1年後には住宅がこんだけ上がります。利子と元本返して、余ったお金で自動車でも買ったら?」
「住宅を担保にして○○円貸しますよ」

 こんな甘い囁きに、契約書を読むこともせずにサインしちゃったんだろうね。先日の『ガイアの夜明け』という番組にも、ケースとして紹介されてたのがメキシコ出身の労働者でしたね。
 アメリカに20年住んでいていまだに英語ができない。もちろん、英文で書かれた契約書など理解不能。にもかかわらず、「この住宅を買えば1年後、2年後には高く転売できるんだ!」という夢を見てた。
 たしかに住宅の値段が右方上がりなら、金利5〜6%のプライムローン(優遇ローン)に借り替えることができたと思うよ。けど、残念ながら住宅バブルは弾けちゃった。

 ポイントは3つ。
@バブル崩壊の兆候は遅くとも2006年1月には明白だった。
Aサブプライムローンの金利がポンと上がる時期はこれから。
Bローンをリスク別に分別加工して証券化し、あれこれ組み込んだ金融商品(CDO)を金融機関が世界中に売っちゃった。

 で、その金融商品を買ったのがGMだったり、プロップトレーディング(自己売買)しちゃったのがCitiとかメリルとかだったんじゃないかなぁ・・・。

 「CDO」っていう商品は複数のローン債権を束ねて高利回りでありながらリスク分散もできるっていう優れものの有価証券、債務担保証券なのね。
 これね、いったん損失処理しても資産価値が下落しちゃってロスが止まらないという危険な商品なのよ。債務担保というのはそういうことでしょ?

 これがいま、世界の金融機関を悩ませているガン細胞。おかげで、債券マーケットは息の根が止まったと思うね。

「これ、サブプライム入ってる?」
「少し味付けで入ってます」
「いらない!」
 ほとんど段ボール肉まんかミートホープ社のメンチだよ、これじゃ。

 さて、いま、金融機関はサブプライムローンどころか、プライムローンまで融資をストップしてます。5000万円を超えるお金持ち向けのジャンボローンですら新規融資は止まってます。
 当然、住宅を販売しようにも売れません。新築の適正在庫期間て4カ月だけどいまや10カ月。中古はさらに塩漬け。売れない在庫で地域一帯がゴーストタウンになってるケースも少なくありません。
 実際、ロスなんてひどいもんだよね。

 こんだけマーケットが冷え込んでる中、おいそれと住宅を転売できるとはちと考えにくいよね。となれば、延滞率の上昇は避けられない。だれが考えたって、これから延滞率が改善されるわけないよね。

 いま、延滞率=10%だけど、これからステップローンはガクンと上がるんだもん。こりゃ、あっという間に50%は超えるよ。住宅価格がさらに下がれば(その確率は100%!)、延滞率は100%になってもおかしくない。

 さて、融資した資金が回収できなかったら、金融機関=住専はどうなんだろう? もち、すべてが不良債権だよね。
 私たち日本人は、不動産バブルが崩壊したらどのくらい大変かよ〜くわかってますよね。経験者だからさ。

 今回のサブプライムローン問題は私たちが経験したバブル崩壊とちと違うのよ。それは「証券化」という裏技を使っていろんな金融商品を作って世界中に販売されてるってこと。
「住宅のローンが払えません」「じゃ、差し押えします」「はい、出て行きます」という簡単な解決では済まないの。

 たぶん、大手金融機関で倒産するところが出てきますよ。いままで日本の優良企業や不動産、第3セクターの不良債権を安値で買い漁ってたヘッジファンドが一転、日本の企業や金融機関になんとか買ってくださいよぉ、と泣きつくかもしれませんね。
 市民が直撃される北米では消費がシュリンクしますわな。規模的にも大きいんで、きっと「資金を供出してくんない?」と奉加帳が回ってきたり、「ねぇ、協調利下げもよろしくね」「この前利上げしたばっかだよ!」「そこをなんとか。インド洋の油いらないから」なんておねだりがくるはずです。

 さて、この時、どうするか?

 だって、これ、海外、とくにアメリカの金融機関の経営ミスでしょ。かつて、大蔵省は金融システムを守るために税金を投入しましたね。今回は、日本の金融システムにはそんなに影響はないですよね。アメリカのために、日本経済をダッチロールさせることはできませんでも、アメリカに首根っこ押えられてる政府だったらするかもね。
 さあ、どうすんだろ?

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プロフィール

中島孝志(なかじまたかし)
東京生まれ。早大政経学部、南カルフォルニア大学大学院修了。PHP研究所、東洋経済新報社を経て独立。経営コンサルタント、経済評論家、ジャーナリスト、作家 (ペンネームは別) 、出版・映画プロデューサー、大学・ビジネススクール講師、TVコメンテーター等々、ビンボー暇無し。講演・セミナーは銀行、メーカー、外資系企業等で超人気。著訳書は200冊超。プロデュース500冊超。読書は年間3000冊ペース。落語と大衆演劇、そしてシャンソンの熱烈なファン。

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