2008年03月24日台湾海峡、波高し

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 台湾総統選挙が終わりました。
 結果はご存じの通り、国民党の馬英九さんの勝利。対中融和路線の政治家ですな。
 この結果が日本に与える影響は少なくありません。とくに防衛問題ではちと困ったことになりそうですなあ。中国+台湾を向こうに回した交渉をしなければならなくなりましたね。それに韓国、北朝鮮・・・そしてロシア。

 日本はよっぽど腹をくくった外交をしなければ国益を損ねることになります。

 さて、今回の選挙ですが、前回、3万票しか差がつかなかったことから考えれば圧勝といっていいのではないでしょうか。
台湾国民は、政治よりも経済優先で判断したわけです。開票直前の、中国によるチベット弾圧は与党民進党を利したけれども、それでもなお足りなかったわけですから、これはよっぽど本人(謝長廷さん)か前任者(陳水扁さん)に人気がなかったんでしょうねぇ。

 民進党は台湾独立志向です。とはいいつつも、アジア諸国との自由貿易協定も結べない。おかげで、貿易立国に逆風が吹き、経済は失速。増税によるインフレも加熱しつつありましたね。

 では、馬さんは対中融和路線だからといって、共産中国の意のままに進むか、台湾が中国に呑まれるかといえば、そんなことはないと思います。
 かえって、この人が総統に就任することで「時間稼ぎ」ができるから良かったのでは・・・とさえ思っています。

 独立志向を宣言することにはリスクはあるけれども、具体的な実行が伴っていなければ、たんなるかけ声にしか過ぎません。いざ、やろうとしたら、中国は圧力をかけてくるはずです。チベット並にね。

 賢い愛国者なら、面従腹背で敵が転けるのを待つ。そのときに一気呵成に独立を宣言する。あるいは事実上の独立をしてしまえばいい。
 宣言の重要性は、こうしないと条約が締結できないし、国連にも加盟できないからです。かつての日本がそうでした。サンフランシスコ講和条約は独立とセットでしたでしょ?

 では、その中国が弱まるのか? チベット問題が発生していることだけでも弱体化している証拠。オリンピックを前に、「開会式には行かないよ」なんて国が出てきてる。これも弱体化の証拠です。

 革命成功の鉄則は、?体制の徹底的な腐敗堕落、?民衆の好意的中立、?中核となる政党の存在・・・レーニンも言ってますよね(『国家と革命』)。
 強い敵相手に喧嘩するのはドンキホーテなの。「君子危うきに近寄らず」といいます。相手が腐るまで待つ。そのときに襲いかかる。「君子豹変す」ともいうでしょ。

 下手に独立志向を宣言するドンキより、面従腹背でチャンスを狙ってるヤツのほうが怖い怖い怖い。
 軍事大国相手でも? そうです。軍事大国アメリカと中国相手に一歩も引かなかった国があるじゃないですか? ベトナムです。


笠原和夫さんの最高傑作!『仁義なき戦い』
 「てっちゃんよぉ、狙われるヤツより狙うヤツのほうが強いんで」
 「昌三、わかっとるが」
 「そうかのぉ。わしにはそうは見えんがの」

※本日の産経新聞の書評、私が書いてます。読んでね。なお、明日は「中島孝志の毒書人倶楽部」です。テーマは「あなたも本が出せる! 夢の印税生活実現講座」です。メンバーは参加のこと!