2018年07月01日「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 喜びと悲しみは同じモノだ・・・最近、なぜか、この手のものばかり見ています。『万引き家族』『祝福 オラとニコデムの家』とかね。

 どうしようもない親としっかりした子ども、つう親子関係。なんの暗示か、導きなのか、まだわからんけど。。。



 映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で高得点。批評家から絶賛。けど、アカデミー賞ではウィレム・デフォーが助演男優賞にノミネートされただけ。これがクリエイターとか批評家の間でブーイングになった、つう作品です。

 世界でいちばんの集客力を誇る「マジック・キングダム(フロリダ・ディズニーランド)」のそばにあるモーテルで暮らす子どもたち。

 ホームレスまで落ちてないけどアパートには暮らせない。だって、職もないし、貯金もないし、保証人もしないし、貧困層だからね。

 子どもの一番人気の場所が近くにありながら、そんなものとはほど遠い。でも、子どもは遊びの天才ですから、なにもなくたって遊びに変えちゃいます。
 それが「いたずら」。度が過ぎたいたずら。ものすごいエネルギーの塊だから、電池が切れる夜になるまで周囲の大人は振り回されちゃう。

 ホント、子どもと遊ぶとクタクタになりますよ。「あれ、なーに?」「これ、ナーニ?」と質問の嵐。きちんと調べて正しく教えてあげないとね。

 主人公はムーニーという女の子。天才子役でしょうな。自由奔放に生きてるのは母親譲り。この母親、子どもを捨てずに生きてるシングルマザー。どうやら10代でムーニーを産んでるんで、まだ20歳くらい。

 モーテルは週払い。いつも支払いが遅れる。で、ムーニーと一緒に水着写真を自撮り。実は、ほかに使うためなんですけどね。

 全編、ムーニーたち子どもの視点で描かれてます。あの頃の私はにをしてたんだろう。仲間を連れてはあちこち走り回って陽が暮れるまで遊んでいた。持てあましたエネルギーを消費するために1日中動き回っていた、と思う。

 ムーニーの動きを見ているだけで、実は疲労困憊。子どものエネルギーってのは凄い。母親ってのはこの連中に付き合ってるわけで、そりゅ、クタクタヘトヘトになるわな。

 ムーニーは教会の炊き出しにも、遠慮することなく、あれくれ、これくれ、と注文します。教会の連中もどんどんあげちゃう。

 アメリカほど貧富の差が激しい国はありません。何兆ドルものカネを投資銀行救済に使うけど、貧困層にはフードスタンプのみ。しかたない。働かないんだから。

 でも、働きたくても職がない。拒絶されちゃうわけ。失業率が激減してるのは、正社員のクビを切って、猛烈にパート・バイトを増やしてるからにすぎません。でも、パートやバイトの職すらありつけない。

 ほぼ最底辺の連中。ムーニーたちの親ですよ。言葉遣いも態度も悪い。

 「だから、あんたは貧しいのよ!」と非難するモーテルの女主人に対してムーニーの母親がとった行動。笑いましたよ。

 哀しすぎると笑うしかないね。

 そうそう、ラストシーンでムーニーがはじめて大泣きしたとき、友達のジャンシーは思わず手を取り駆け出します。どこに行くのか? なにを目指すのか?

 驚いたなあ。要注目です。


ホントはこの映画見るつもりだったの。映画館でコロッと心変わり。万事に付けてよくあることです。