• 2025年6月12日(木)

    「喫茶おじさん」 原田ひ香著 1,440円 

    人生もコーヒーも、苦いけれどうまい。
    松尾純一郎、バツイチ、57歳。大手ゼネコンを早期退職し、現在無職。妻子はあるが、大学2年生の娘が暮らすアパートへ妻が移り住んで約半年、現在、別居中。

    再就職のあてはないし、これといった趣味もない。ふらりと入った喫茶店で、コーヒーとタマゴサンドを味わい、せっかくだからもう一軒と歩きながら思いついた。趣味は「喫茶店、それも純喫茶巡り」にしよう。
    東銀座、新橋、学芸大学、アメ横、渋谷、池袋、京都──「おいしいなあ」「この味、この味」とコーヒーとその店の看板の味を楽しみながら各地を巡るが、苦い過去を抱えていた。
    妻の反対を押し切り、退職金を使って始めた喫茶店を半年で潰した。仕事、老後、家族関係……たくさんの問題を抱えながら、今日も純一郎は純喫茶を訪ねる。
    『三千円の使いかた』で大ブレイクの著者が描く、グルメ×老後×働き方!