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2025年10月20日(月) 「運を味方にする人の生き方 前編」 栗山英樹・横田南嶺著 1,650円 禅僧と名将が語り合った勝者の哲学~侍ジャパンを世界一に導いたもの~ 
 「僕は勝負に勝つためには運をどう引き寄せるかがすべてだと思っていました。どうすればそれをチームに持ち込めるかが監督としての最大のテーマだったんです」
 そう語るのは侍ジャパンを世界一に導いた名将・栗山英樹さん。
 本書は栗山さんが尊敬してやまない禅僧の横田南嶺老師と、「運」をテーマに語り合ったもの。
 
 WBC世界一の勝運を呼び込んだ要因はどこにあったのか、運を味方にする人の共通点は何かといったことを、野球と禅という異なる世界から深く探究しています。
 興味深いのは、栗山監督が語る勝負哲学が、禅宗の教えから裏打ちされている点。
 仏道修行と同じく、野球も私心を去り、他者のために尽くすことによって大いなる意思と一体になることができるなど、その哲学に強い説得力を持たせています。
 また、栗山監督が代表合宿初日に、30人の選手全員に墨筆で手紙を書いたこと、「憧れるのをやめましょう」と大谷翔平選手の一言が飛び出した背景など、侍ジャパンを世界一へと導いた舞台裏が覗けるのも魅力。
 コントロールできない運をコントロールするためにはどうしたらいいのか、遭遇する不運にいかに処すればよいのかまで、運を味方につけ、人生を力強く生き抜くための知恵が詰まった一書です。