2006年12月11日「RE DESIGN」 株式会社竹尾編 朝日新聞社 3150円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 朝日って、時々、こういういい本出すのよね。
 これ、竹尾という紙商社(創業1899年という老舗)が100周年記念に「リ・デザイン展」というイベントをやったのね。全世界をまわったイベントだったんだよ。
 で、その時、たっくさんのデザイナー、クリエイターたちから寄せられた「リ・デザイン」の数々をなんと1冊にまとめちゃった。まさに傑作本です。

「リ・デザイン」というのは、日常よく見る商品とかモノでも、デザイナーが違ったコンセプト、違った発想・切り口・アイデアで眺めると、「おっ!」「えっ!」「あっ!と驚くタメゴロウ!(古いね、どうも)」というデザインへと変身しちゃう。

「おいおい、このほうが面白いじゃん!」
「こっちのほうが便利!」
「どうして気づかなかったんだろう?」

 とっても刺激的! 感激、興奮!

 デザインというのは「アイデア」という抽象的、幻想的なものを「形」という物理的、現実的なモノへと変換させる「メディア」なのよ。
 だから、私のような仕事をしてる人間にはとっても勉強になっちゃうのよね。

 だれがどんな作品を「リ・デザイン」として発表したかというと、これがものすごく贅沢なのよ。
 たとえば、坂茂さんの「トイレットペーパー」、だんご3兄弟の佐藤雅彦さんは「出入国スタンプ」、原研哉さん「ゴキブリホイホイ」、ペプシマンで有名な大貫卓也さんは「タパコのパッケージ」、浅葉克己さん「切手・消印」、横尾忠則さん「千歳飴」、藤森照信さん「金魚すくい器具」・・・ほかにも日本を代表する方々が・・・遊んじゃって、まぁ。


佐藤雅彦さんの「リ・デザイン−−出入国スタンプ」です。さすがだね。

 仕事というより道楽?
 面白くて、次々にアイデアが浮かんできた?
 意外と大変だった?
 
 いずれにしても、いまそこにあるモノを違う視点から眺めてみる。もう1度デザインしてみる・・・という実験がいろんな発見をさせてくれるわけさ。これはビジネスパーソンなら、仕事でも習慣づけてもらいたいね。

 ところで、このイベントは「世界インダストリアルデザインビエンナーレ」で大賞受賞。以来、グラスゴーの美術館「ライトハウス」を皮切りにデンマークのコペンハーゲン、カナダのトロント、香港、そして上海、北京と引っ張りだこ。

 そうそう、フジテレビで深夜に放送してた「ニュー・デザイン・パラダイス」なんかまさしくこの企画のバクリ! たぶんどこかのテレビ局がやるだろう、とは思ってたけど、やっぱりねぇ。めざといねぇ。テレビ屋はこのくらいすばしっこくなきゃダメだよね。タイトルまで「ニュー・シネマ・パラダイス」のパクリ。
 でも、これはこれで面白かったよね。視聴率、そこそこ良かったんじゃないかな。
 横浜国大も「リ・デザイン学科」なんて作っちゃった。250円高。