2007年08月06日「国家情報戦略」 佐藤優・コウ・ヨンチョル著 講談社 840円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 日韓を代表するインテリジェンスについて、たっぷり勉強できる1冊です。

 佐藤さんはご存じの通り、この「通勤快読」では何冊もご紹介しております。コウさんも佐藤さん同様、金泳三という大統領の「国策捜査」によってむりやり有罪にされたことのある人物です。

 政府、大統領が自分の人気取りのため、あるいは失脚を免れるためには、どんなことでもするという格好のケースですな。
 ところで、韓国はこの大統領のおかげで経済はガタガタになりましたよね。

 佐藤さんは鈴木宗男さんに近いところにいた、コウさんは、インテリジェンス部門の中枢にいたキーパースンであるために狙われた、と言ってもいいでしょう。
 
 あの「ミラーマン」と言われた植草さんだって、実は冤罪であり嵌められたと考えるべきかもしれません。
 なんのために? それは彼が失脚していちばん利益を得る勢力があるからでしょうね。

 戦後の日本には政治犯罪はない、という建前です。けど、これはウソ。
 時に政権に都合の悪い人物や組織は背任、横領、贈収賄といた経済事犯、強要、脅迫等の一般犯罪へと転換して息の根を止めるわけ。
 それに加担してるのが検察というわけです。

 検察は正義の味方? いえいえ、権力の味方なんですね。
 
 日本は友好国アメリカのことなど、まったく調べていません。自衛隊の合同情報本部にはアメリカ調査に従事する班はない、外務省にもない(情報収集の人数は2人しかいない)。つまり、アメリカに対する工作は一切ないわけ。

 アメリカはというと、国家安全保障局(NSA)が「エシュロン」という通信傍受システムで全世界を盗聴監視しているわけ。CIAの3倍の予算4兆8000億円。修士以上のキャリアが38000人という巨大組織。
 エシュロンは、アメリカ、イギリスという一次加盟国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダという二次加盟国、日本、韓国、トルコの三次加盟国があり、それぞれ共有する情報にはレベル差があるわけ。
 で、いま、優先順位としては国際ビジネス、イスラムのテロリスト、麻薬取引、核拡散・・・等の情報が上位にあるらしい。
 アメリカの諜報衛星とU-2偵察機の能力は、金正日の息の音まで感知できるレベル。だから、彼の健康状態を推定することは秋分できるでしょうね。

 北朝鮮は経済のレベルでいえば吹けば飛ぶような国だけど、こと、情報戦、諜報活動となると一等国。これは、「戦争中」の国ならではの話です。
 日本はもちろん、民主主義国の韓国では、国民全体を活用して諜報活動に邁進することなんてできるわけないもんね。

 で、これだけ北朝鮮が諜報レベルが凄いのは、「陸軍中野学校の教科書をそのまま使っている賜」というのが韓国国防省では常識。
 事実、金正日は部下を褒めるとき、「おまえは本物の中野だ」と何度も言っていたとか。

 陸軍中野学校というと、あのルバング島から帰還した小野田少尉が学んだことで知られてます(ただし、彼はゲリラ戦教育専門の分校だけど)。
 いま、北朝鮮が展開している情報活動など、たとえば、「工作員の養成」「『草』を植え付ける方法」「風船や気球を武器として使う方法」「偽札戦略」・・・これ、すべて戦前の日本、すなわち、陸軍中野学校が指導したものばかりです。

 草というのは、その国の市民になりすましてしまうスパイ活動のこと。
 先日、「ユニバース・トレーディング」というダミーの貿易会社を隠れ蓑にして諜報活動をしていた北朝鮮スパイがいた。日本人と結婚したが、その奥さんを殺し、子ども2人を拉致したままになっている。偽装活動のためにダミーの会社を作るのは、やはり、中野学校のお家芸だったんですね。

 ただし、陸軍中野学校の工作活動は、金正日個人のためのそれとは次元はダンチ。中野学校では、「現地の人々に受け容れられないような謀略工作は絶対に成功しない」と指導していたんです。300円高。



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