2011年08月25日「欧米と敵対するカリスマ」という虚像で売ったカダフィ

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 リビアのバカ主人カダフィの命運が尽きそうですな。ええかっこしいの典型でしたな。

「カダフィは欧米などの帝国主義勢力と激しく敵対し、カダフィ軍もNATO軍と敵対こそすれ、欧米に面倒を見てもらった歴史はない」と勇ましく語る、自称、「国際ジャーナリスト」がいますけど、アホか。
「欧米はすべてダメ」「欧米に反対するものはすべて正しい」とステレオタイプに考える典型的な左翼小児病患者か、あるいは無知蒙昧な人物の世迷い言ですな。
 カダフィのシナリオ通りに反応するなんて、よっぽどお人好しなんでしょうな。

 真相はこれ。

 1969年、リビアで革命が起きます。当時、中尉のムアマール・カダフィが実権を握るわけですが、この男、欧米と巧くやらないと、あっという間にひっくり返されることを学習しておりました。

 以前にも触れましたが、遡ること10年前、イランの革命指導者モサデグが油田を国有化しようとしたものの、英米連合軍に転覆されてしまったんですね。結果、生まれたのがあのBPですよ。理想を掲げてもシビアな現実=国際政治の謀略の前では儚い夢・・・カダフィはリビア国内の石油採掘権の51%を所有者の欧米企業からもらうわけ。
 で、残りの49%は欧米企業でどうぞお好きなように。いわゆる、「ウイン・ウインの関係」を形成するんですね。

 これが彼のこすいところ。で、こすいヤツらは価値観が一致します。

 革命の4年後(1973年)に起きたのがオイルショックですね。「限りある資源なんです」と売り渋りで価格を上げたわけ。このときカダフィは「わしはベドウィンの生まれで、いまでも砂漠にテント生活をしとるんじゃ」「欧米帝国主義を打倒せよ!」と口を開けばこんな嘘っぱちを並べ立て、実は地中海の高級リゾートで美女とワインの酒池肉林の宴を繰り返していたわけ。

 為政者というのはこんなもんです。民衆がどれだけ飢えて、どれだけ教育がないか、識字率40%以下・・・為政者のレベルがわかりますよ。
 結局、カダフィなんて原油で儲けたカネはすべて自分のポッポに入れるだけ入れて、地中海で美女をはべらせて好き放題した「がりがり亡者」に過ぎませんでした。

 こんなバカに好き放題やられてた欧米諸国もたかがしれてます。アフリカがいまだに暗黒大陸なのも、暗黒なリーダーが跋扈してるからですよ。
 いつまで経っても民衆はバカを見たままだけど、為政者にしてみれば、ヘタに教育レベルなんぞ上げたら、でたらめな政治を続けられませんからね。民衆は永遠にバカなままにしておきたい。

 日本は幸い、総理大臣も事務次官も一般大衆と同じ。ここが先進国とも後進国ともちがうとこかな。


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