2014年01月07日「中島孝志の 聴く!通勤快読」を公開します。。。

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 つうことで、昨日に引き続き、「聴く!通勤快読」は『タネが危ない(後半)』(野口勲著・日本経済新聞出版)です。本日は、お年玉がわりに特別公開します。ま、後半だけですけど。
 通勤快読メンバーはいつも通り音声でも聴けますから、PC、ケータイ、iPod等でご視聴ください。


 輸入野菜に使われているタネは、どれも日本の種苗メーカーが日本の大手市場向けに育成して輸出したF1種子なのです。

 外食産業の要求は、「味付けは我々がやるから、味のない野菜を作ってくれ。ゴミが出ず、菌体量の少ない野菜を供給してくれ」というものでした。すごいですね。味がないほうがいい、というわけです。

 日本にあった野菜はワサビやフキ、ミツバ、ウドぐらい。フランスのタネのカタログを見ると7〜8割はいまも「固定種」です。日本と段違いです。

 全体が青いタイプのキュウリは「華北型」。これは明治以降、日清・日露戦争を経て入ってきた品種です。ばらつきや多様性は植物の知恵です。どれかが子孫を残してくれるようにあえてばらつかせているんですね。

 百姓は百の農作物をつくるから百姓と呼ばれました。ところが、農水省の「野菜指定産地制度」で同じ野菜ばかりを作るようになりました。嬬恋のキャベツ、熊本のトマト、高知のピーマンなどなど。1年中、同じ野菜ばかりつくっています。おかげで病気がどんどん変異して強くなってしまいました。今までの農薬が効きません。

 スーパーに並んでいる「小松菜」のなかで本物の「小松菜」は一つもありません。スーパーや八百屋で売られている白菜は、中は黄色い黄芯白菜ばかりです。文字通り中まで白い白菜は遺伝子の元になるタネは両親ごと捨てられて廃番です。いま売られている玉ネギはF1です。畑に植えればわかります。咲いた花は全部花粉の出ない花ばかりです。

 男性不妊症や動物の不妊も、ミトコンドリア異常が原因ではないかといわれています。
 これは母方から子に遺伝します。つまり「雄性不稔」の母親の子供はすべて雄性不稔になるのです。

 07(平成19年)2月27日、時事通信が「ミツバチが忽然と消えるイナイイナイ病」という記事を配信しました。
 前日まで大量にいたミツバチがある日突然、女王蜂と数匹のハチを残して忽然と消えたのです。火曜サスペンス劇場です。
 09年6月25日の日本農業新聞に「欧州ミチバチ報告 卵産まぬ女王が続々」という記事が載りました。「ヒマワリ、ナタネ、トウモロコシの単作農業地帯で被害が大きい」とも。

 “不妊症”の女王バチ。ミチバチの受粉に頼っている農作物として、約100種の植物があります。玉ネギ、ニンジンもそうです。これらは果実を収穫するため受粉が必要なんですね。子孫を作れない玉ネギやニンジンの母親株に健康な父親株から花粉をつけるためにはミツバチが必要なんです。

 ミチバチは2キロ四方を飛行します。10アール(約1反)あたり1箱から2箱=2万匹から5万匹の働きバチがいます。
 玉ネギやニンジンの開花期に働いているミツバチはおびただしい数なんですね。

 巣箱にいる2万〜5万のハチはほとんどがメスの働きバチですから繁殖能力はありません。女王バチは1日に1500の卵を産みます。オスバチは自分の巣の女王バチとは交尾しません。女王バチが巣から出てくると空中で交尾し、精子を出し尽くしたオスバチは死にます。交尾できなかったオスバチは巣に戻っても追い出されて死にます。哀しい一生なんです。

 オスバチもメスバチもみな1匹の女王バチから生まれた子供です。働きバチが雄性不稔の植物の蜜を一生懸命集めてきて、その蜜で育った女王バチから、繁殖能力のないオスバチが生まれているわけです。

 ミツバチの進化は100万年以上前に完成している、といわれています。

 アメリカやヨーロッパでミツバチが突然消え、死体がどこにも見つからない。本当に火サスです。
 ミツバチが消えた季節は晩秋から早春。養蜂業者は一定の農家と契約しています。雄性不稔のF1種子を受粉させるためにミツバチは利用されています。
 世代が代わっても同じ季節には同じ採種農家の畑に行きます。所有するミチバチは代々「雄性不稔」の蜜と花粉を集め、次世代の女王バチとオスバチを育て続けているのです。

 世代を重ねるごとに異常ミトコンドリアの蓄積が多くなり、あるとき無精子症のオスバチを産みます。オスバチすべてが無精子症になっていることに気付いたメスの働きバチたちはパニックを起こして、巣の未来に絶望してアイデンティティを失い、集団で巣を見捨てて飛び去った・・・のではないでしょうか。

 日本ではミチバチ不足で海外から何万匹もの女王バチを輸入しています。この女王バチから生まれたオスバチは受精能力が低く、精子を採取して女王バチに人工授精しているほどです。

 20年後にいったいどんなことが起こるのか? 世の中の園芸植物がすべてと言っていいほど雄性不稔化に向かって進んでいるのです。コメをはじめ、砂糖の原料のテンサイ。効率のよいF1化=雄性不稔化=されつつあるのです。

 ミツバチで起こったことは人間にも起こるでしょう。

 1940年代には1ミリリットル中に精子は1億5000万もありました。2000万以下が不妊症といわれるなか、いまや成人男性の2割。平均値は4000万以下です。しかもこの5年間で劇的に減っているんです。
 遺伝子的要因ではなく環境等の外的要因が疑わしいのです。草食系男子などの現象も雄性不稔の影響かもしれません。

 商売のために、本来やるべきではないことばかりやっています。放射線を照射した作物を盛んにつくっています。人体にどんな影響があるのか。「放射線育種こそ環境汚染である」と強烈に批判しているホームページがありますが、なんとそれは遺伝子組み換えを推進している人たちのサイトでした。

 東日本大震災で放射能を吸収するといわれるヒマワリを植える話が出ています。ヒマワリの70%は雄性不稔のF1です。花粉症予防のため雄性不稔のスギを植えようという動きもあります。

 ネズミやサルなどの野生動物が食べなかった野菜は、どれも「雄性不稔」という技術を使ったF1品種ばかりです。

 もう何も食べられなくなりそうですが、逆に言うと、いい野菜がバカ売れする大チャンスです。やっぱり農業はおもしろい。