2012年11月27日「キラー・リーディング」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 5年前のベストセラーです。オリジナルの読書法を紹介した本ですが、4冊書いた読書本のなかでいちばん高い評価を頂いているようです。
 
 復刻することになりました。で、復刻特典として最終章に「日本を語れるようになる読書30冊』という頁をドカンと写真入りで収録しました。

 これさえ読めば、政治経済、社会の出来事などが透けて見えるようになると思いますよ。



「ワトソンくん、水道の蛇口からこぼれる水1滴からナイアガラの滝をイメージできるかどうか。これが推理なんじゃよ」

 名探偵シャーロック・ホームズが推理のコツを新人に伝授した一節ですね。
 もちろん、世界的に知られる人気推理小説のワンフレーズですが、ぼんやり読んでいると、この一節をなにごともなく通り過ぎてしまうでしょう。しかし、目利きが読めばなんとも深いイマジネーション&クリエイティビティを湧き起こしてくれるフレーズです。

「蛇口からこぼれる水1滴」とは情報収集力=インテリジェンスのことです。「ナイアガラの滝」とは発想力(想像力)+論理構築力(創造力)=イマジネーション&クリエイティビティのことです。

 このなんとも深いイマジネーションとクリエイティビティを湧き起こすひと言を「キラーワード」、そして一節を「キラーフレーズ」と呼んでいます。

 映画『七人の侍』『影武者』で知られる巨匠黒澤明さんの「アイデアは記憶力だ。いろいろなものを記憶しておいて、どのタイミングで出すかがポイントだ」という一節など典型的なキラーフレーズです。

 面白いことに、キラーワード、キラーフレーズは同じ文章を読んだところで同じにはけっして聞こえません。聞く人が聞けばこの一節でアイデアの極意をつかみ、その後の仕事がガラッと変わることもります。センスのない人が100回聞いても残念ながらなにも生みはしないでしょう。

 このキラーワードとキラーフレーズを総称して「インテリジェンス」と呼んでいます。 仕事の中身は「キラーリーディング」でガラッと変わります。

 キラーリーディング」とはたんなる速読や多読ではなく、情報のインプットから成果や結果というアウトプットを生むまでをシステマティックにマネジメントした「究極の読書法」です。どんな本を、どう読んで、どう整理し、どう活用して、どんなアウトプットを生み出すか?

 優秀なビジネスパースンはこんな「価値の生産工場」を脳内に必ず持っているものです。より仕事のできる人ならいくつもの生産工場を脳内のあちこちで毎日フル操業しているはずです。

 いい仕事はすべて「インテリジェンス×イマジネーション×クリエイティビティ」から生まれます。「事件の点景(=インテリジェンス)から全体像を紡ぎだす構想力(=イマジネーション&クリエイティビティ)」が仕事を具体的にデザインするからですね。

「キラーリーディング」の狙いの1つはここです。1冊1冊の読書でも、価値あるインテリジェンスに注目してイマジネーション&クリエイティビティを起動することを意識すれば、あなたの仕事の内容は格段にバージョンアップするのです。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『聖武天皇 責めはわれ一人にあり』(森本公誠著・講談社)です。詳細はこちらからどうぞ。