2003年06月16日運のいい人、運の悪い人

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運の悪い人

 世の中には運のいい人、悪い人がいます。

 運の悪い人となると、たとえば、朝起きた時から運が悪い。いきなり、寝坊です。顔も洗わず、走って駅に行くと定期券がない。仕方ないから、切符を券売機で買おうとすると、財布には一万円札しか入っていない。

 両替しようとキオスクに行くと、「両替お断り」と書いてある。仕方ないから週刊誌を買う。ようやく電車に乗る。買った週刊誌を開くと、これが昨日、読んだやつ。

 車内では痴漢に間違われ、ほうほうの体でなんとか会社までたどり着く。

 いつもは遅く来る上司がなぜか、早く来てて、「君、重役出勤かね」と皮肉られる。デスクに着くと、電話。これが隣のやつにかかってきたクレーム電話。三十分ほど怒鳴られた、なんとか解放されると、同僚がやっと戻ってくる。

 今夜は彼女とデートだと喜んでいると、「遅く来たやつはその分、仕事しろ」と上司から残業を命じられる。彼女に「また、今度」と謝ると、「あんたなんか、一生、また今度でいいわよ」とさよならを言われる。

 頭に来たんで、赤提灯でいっぱい引っかけて帰ると、これが食あたり。お腹を押さえて家に帰ると、なんと火事で燃えている。

 「なんてついてないんだ」とポケットに手をやると、定期券が見つかった。




運のいい人

 これが運のいい人になると、また、変わってきます。

 寝坊して、テレビをつけると、いつも使ってる電車が脱線事故で修復中とのこと。こりゃ急ぐこともないぞ、とシャワーを浴びて、コーヒーを飲んで、ゆっくり出かける。

 会社に着くと、いつも遅い上司がもっと遅く来る。

 「きみ、脱線事故じゃなかったのか? よく来たな、なんとも仕事熱心で結構、結構」

 今日はついてるな、と思うや、会社でいちばんきれいと評判の受付嬢にエレベーターで二人きり。

 「どう、今夜、飲まない?」

  何の気無しにいうと、「いいわよ」という返事。

 飲み屋で盛り上がると、「なんだか、今日は帰りたくないの」といわれる。

 そのままホテルにしけ込むと、いきなり、ファンファーレが鳴り響く。

 「おめでとうございます。当店開業以来、千組目のお客様です。ハワイ旅行のプレゼントをどうぞ!」

 まっ、落語のような噺です。というよりも、これ、「死神」という落語のまくらでよく使われるネタです。

 まっ、世の中、こんなに運のいい人はいません。

 運というのは主観的なもので、「あいつは運が良い」と周囲の人が断言する人に限って、「それほどでもない。俺ほど運が悪い人間はいない」と思ってたりします。

 逆に、「変な女に騙されて。運の悪い男だ」と思われてる人に限って、「天国にいるような気分だ」と運ばりばり全開という調子。

 運というのは主観で決まるんですね。