2015年02月26日「悼む人」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

「忘れてもいいよ」
 愛する人が若くても若くなくても、たぶん、そういうでしょう。
「とっくに忘れてるわ」
 きっと、そうこたえるでしょう。

 優しさ。。。なのかもしれません。

「ボクはボクの中にあなたを刻みたいのです。だれを愛し、だれに愛され、そして感謝されてきたか、を」

 主人公の静人は真空ですな。いなければならないけど、居続けても困る。黒子、狂言回しのような存在。この存在が不慮の死を遂げた人々を悼むために旅をします。

 ああ、そうか。戦友12人の遺書を配達しようと旅に出た、あの西山民次だ。渥美清主演の『あゝ声なき友』ですね。



 気味の悪い行為にいぶかる人々。怒りをぶつける人もいれば、理由を知って、感謝する人もいる。

「私たちがどれだけあの子を愛していたか、知って欲しい!」と泣き叫ぶ母親。

「知能が遅れていた息子は不良たちのリンチに遭って殺された。殺した少年の父親は警察官。警察もマスコミの喧嘩による事故にした。あなたは世間に真実を訴えかけて欲しい」
「犯人を恨むことはできません。そんなことしたら、息子さんへの思いより犯人への気持ちが深く刻まれてしまう」

 愛し、愛され、感謝されたか。。。ああ、まるで内観のようだとも。してあげたこと、してもらったこと、お返ししたこと。人生のパランスシートをつくる作業。よく似てます。

 椎名桔平さん演じる雑誌記者。母親を捨て女と逃げた父親を許せない。その女が今際の際にある父親が会いたがってる、と伝えに来ます。最後まで会いません。独りぽっちで死んでいった母親、捨てられた自分。勝手すぎるわなあ。

 女子中学生を買った日に父親が死にます。来ないと雑誌社に遺体を送りつける、と怒鳴られる。そこにあったのは、しゃべられなくなった父親が画用紙に大きく書いた文字。。。
 
 会いたい、あいたい、字がだんだん崩れていく。

 その夜、女子中学生を食い物にするチンピラたちにリンチされ、埋められます。
「いまなら助かる、と少女の声で電話がありました」と警察。あれだけ響かないヤツにも響いた言葉があったのか。スコップで土をかけられながら、彼女に向かって言った言葉。

「おまえは忘れられない人になれ」
「思い出してもらえる人になれ」
「愛される人になれ」

 川崎の中1のお子さんが悲惨な殺され方をしました。犯人は特定できてるようですな。つうか、ネットではとっくに本名と写真まで流れてます。ま、警察としては少年法&民族問題等々も含めて慎重に裏付けをとってるんでしょう。
 川崎つうと、競輪競馬競艇? 住民税が安い? 焼き肉? お大師さん? 工業地帯? つうイメージかなあ。。。  

 監督は堤幸彦さん。キャストは高良健吾、石田ゆり子、井浦新、貫地谷しほり、麻生祐未、上條恒彦、戸田恵子、平田満、椎名桔平、そして大竹しのぶの面々(敬称略)。


 今日のメルマガでご紹介する本は「安倍官邸の正体」(田?史郎著・講談社・864円)です。