2015年07月10日「くちづけ」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 今日は何の日? はい、納豆の日です。で、明日はスピ研ですよ。メンバーはご参集ください。。。
 しかも夕刻からは東京原原の打ち上げです。ジャズシンガー+原原芸能部が盛り上げまっせ〜〜。歌に芝居にピアノにサックスに・・・落語まで披露しちゃうんだかんね。なんつうか、隠し芸大会? ほとんど麻布十番温泉のノリ? かもね。。。

 ♪いいじゃないの。しあわせならば♪


 「ボクがバカだから、トモちゃん結婚できないの?」
 「お兄ちゃんバカじゃないでしょ」
 「ごめんなさい。ボクがバカだから」
 「お兄ちゃんはバカじゃない。バカなのは向こうなの」

 「いっぽんもマコがいるから結婚しないの?」
 「そんなことないよ」
 「マコがバカだから?」
 「マコがいるだけでいいんだよ」

 2010年初演の舞台。宅間孝行さんの脚本。で、彼の劇団「東京セレソンデラックス」(2013年に解散)で上演。



 知的障害者のグループホーム。仲間たちの温かな交流。余命3年告げられたた父と娘の愛。小劇場にもかかわらず2万4000人の動員を記録。



 天使のように愛らしく優しいマコ。仲良しのうーやんと結婚しようとしてた彼女がこの世から消えてしまいます。父娘の切なくて哀しい愛情物語。

 知的障害者は普通じゃない。
 知的障害者には犯罪意識がない。
 障害者年金を使い込んでしまう保護者が多い。
 保護者が死んだら生きていけない。
 ホームレスのほとんどは知的障害者・・・

 どれもこれも偏見です。2014年1月、日本は世界で140番目に「障害者権利条約」を批准しました。身内は大変? それは知的障害者でなくとも大変なんです。重荷ではなく、あなたがいるから生きる張り合いがある。

 けど、自分が元気でなくなったとき。自分が死んだ後どうなるか・・・心配するのは元気なうちからです。常に頭から離れません。

 国も社会もそれほど冷たいものじゃありません。孤独がいちばん悪い。殻に閉じこもるのがいちばん良くないんでしょうな。

 モチーフは新聞の隅に見つけた小さな記事。映画は堤幸彦監督。貫地谷しほりさん主演(静と動の切り替えがすごい!)。父親のいっぽん役は竹中直人さん。
 
 重たいテーマをできるだけ軽く、暗くなりがちな話をできるだけ明るく、けど、伝えたいことは伝える。この手のテーマですと、「事実を正確に伝えてない!」という批判は必ずあります。けど、事実を正確に伝えようとしたら届くのは0.1%もありません。わかる人にはわかる。わからない人にもなんとなくわかる。それが映画の良さです。

 100人に伝える「芸術」にしちゃいけません。100万人に伝わる「娯楽」にしなくちゃ。マスは必ず社会を動かします。量の中に質が生まれます。社会を動かすならマスに届ける「道具」でないとね。

 「マコね。いっぽん大好き。いっぽん死んだらマコも死ぬ。だって生きていけないもん」
 「マコ、マコ。ごめんね。いっぽんの娘で良かったか?」

 プロデューサーの名前を見てびっくり。青木英美さん。おいおいおい、村野武範さんの『飛び出せ!青春』、中村雅俊さんの『われら青春』。どちらでも森下真樹役を演じた女優じゃないっすかあ。懐かしいなあ。。。63歳。あの頃よりずっといい女。

 2015年10月7〜18日まで東京サンシャイン劇場で再演予定。必見です・・・と書いていたら、第15期東京原原では「くちづけ」(サンシャイン劇場)(10月10日午後5時〜を予定)を観劇することにしました。団体予約します。よってフォローアップ講義はスケジュールには入れずにその都度ご案内します。

♪グッバイマイラブ この街角で〜♪


 さて、今日のメルマガでご紹介する本は「学生との対話」(小林秀雄著・新潮社・1404円)です。