2008年07月17日アメリカ製造業の息の根が止まった?

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 先週末、カリフォルニアの地銀インディマック・バンコープが破綻しましたね。これから地銀は大変ですよ。
 そういえば、日本のバブル崩壊でも地銀は大変でしたね。

 いま、日本の地銀はどうしてるんでしょうか? 公共投資が冷え込んでましたから地方企業も元気がなかったもんね。企業が元気なければ金融機関がいいわけがない。
 地銀のくせに地方経済に投資せず、ファンドを通じて東京のど真ん中の不動産に投資してたんでしょうな。地価が上昇してるのもこのおかげ。
 これから本格的に不動産不況となるでしょうから、地銀は第2のバブル崩壊と遭遇することになりかねませんな。

 さて、GMが追加リストラだとか。

 「I'd rather be vaguely right than precisely wrong.―正確に間違えるよりも、漠然と正しくありたい」・・・これはケインズ経済学で知られるジョン・メイナード・ケインズ卿の有名な言葉ですな。
 米国FRB(連邦準備制度理事会)議長のアラン・グリーンスパンが、かつて、上院ファイナンス委員会でこの言葉を引用したことで一躍、有名になりました。

 たしかにビジネスの世界のみならず、世の中には正しくありたいと念じて仕事をしても、結果は間違えることが往々にしてあります。たとえば、株価予測のスペシャリストともいうべきアナリストの戦績にしてから、的中率はたったの2〜3割(大手機関投資家の調査結果)。
 「当たるも八卦、当たらぬも八卦」
 これなら下駄を空に蹴って占ったほうがよっぽど的中率は高いかも。正確に間違える怖さですな。

いま、アメリカのビッグ2(GM、フォード。クライスラーは独ダイムラーグループ入りしちゃったから)の景気は過去最悪。株価は暴落が止まらない。原油高による大型車の売行き不振が祟っている。

 一方、トヨタ、ホンダはハイブリッド車を押し立ててエコブームの風をとらえてます。

 では、ビッグ2にはハイブリッド技術がないかといえば、そんなことはありません。ある意味、日本勢よりも完璧な技術を誇っているほど。けど、結果として後塵を拝しているのにはわけがあんの。

 ハイブリッド車は従来のガソリン車と電池エネルギーの合体製品。
 米国のビッグ2の製造ラインには、従来の車の組み立てを担当する機械工と、電池エネルギー装置の組み立てを担当する電気工の2人の作業者がいるわけ(日本では作業者1人、あるいはロボットに代行)。

 この2人を1人に減らすことはできません。ロボット導入はさらにむずかしい。なぜなら、アメリカの企業社会は職能別労働組合だからですね。
 機械工が電気工の職域に立ち入ることは相手の仕事を奪うことを意味するもの。逆もまたしかり。これがアメリカ伝統の「ジョブ・ディスクリブション(任務と範囲の明確化)」のジレンマでっせ。ストライキもそれぞれ別々に行ってるんだもん。

 「これからハイブリッド車が隆盛になる!」ということは経営者も株主もわかってます。だからといって、「機械工と電気工の融合問題は解決できない」ということもわかってます。

 この現実を前にしたとき、どんなに優秀なハイブリッド技術を持っていようと、労賃等のコストで日本勢にはとうてい適わないわけ。

 正確に間違えている典型。悲しいかな、仕事のシクミそのものが間違っている。こうなると、いったん会社を解散し、悪しき風習に毒されていない未熟練工を採用するしか、ビッグ2復活の道はないわな。