2019年07月01日「COLD WAR あの歌、2つの心」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 いい女だなー。ポスターの段階でほれ込んでしまいましたよ。
 意外と小柄なのか、相手役がでかすぎるのか・・・。







 冷戦下のポーランド、ユーゴ、ベルリンそしてパリ。東へ西へ、別れと再会、愛と・・・命をかけた愛。

 魅惑的な少女ズーラ(ヨアンナ・クーリグ)はピアニストのヴィクトルが教官と指揮をつとめる音楽舞踊団を受験。

 男は歌唱力よりもエネルギーに魅惑されてしまう。早い話が一目ぼれ。男と女の仲になるのは時間の問題。

 スターリン賛歌を要求されて見事に応えますが、西側の音楽を愛する男は監視され、自由を欲しがった。「地球の果てまでついていく」と誓った女は約束の場所に来ない。しかたなく1人で亡命。

 パリのジャズクラブで再会。

♪あなた お変わりなくて? これはシャンソンの「再会」か。

 どうして来なかったの? 
 未熟であなたと差がありすぎて。

 ズーラはパリでレコード制作。いいバラードなんだよねー(全篇サイコーの選曲なんだわ)。
 パリで音楽的成功を手にしても虚無感に苛まれてしまう。愛が欲しいから。「♪ロック・アラウンド・ザ・クロック」でテーブルに飛び乗ってスカートを翻してスイング。酔っぱらって現実から逃げたい。BGMは「24000回のキッス」。

 もっと愛して! そこにあるのは虚無感だけ。

 共産主義という不自由な体制下で「人を愛する」って大変なことなんだわな。引き裂かれては求め合う。男はズーラを追ってボーランドに戻りますが、スパイ容疑で15年の刑。

 必ず出してあげる。ズーラがやったこと・・・野暮だわな。やめときましょう。 

 モノクロにバラード。映像がとってもシック。

 男と女の間というのは、磁石の惹かれあうプラスマイナスという場合もあるし、反発しあうプラス同士、冷えてしまうマイナス同士の時もあるわな。けど、離れ離れになると一瞬で元のプラスマイナス状態に戻れるわけ。

♪会えない時間が愛育てるのさ♪ 郷ひろみさんもそんな歌うたってたわな。

 監督はパヴェウ・パヴリコフスキ(『イーダ』(第87回アカデミー賞外国語映画賞受賞)。ラストシーンに「本作を両親に捧げる」というメッセージが出てきますけど、その理由はいずれわかりますよ。