2007年01月28日「ニクソン」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 どうして小泉さんは人気があって、安倍さんはこんなに支持率を落としちゃったんだろうねぇ?
 まぁ、原因はわかってんだけど。

 この映画、ほぼ10年前のものなのね。
 ニクソンを演じるのは、アンソニー・ホプキンス。というと、「羊たちの沈黙」とか「ハンニバル」「レッドドラゴン」のあの人? なんて思うでしょうね。
 たしかに、日本で有名になったのはこれらの作品だけど、演技としてはこっちのほうがだんぜん良かったと思うよ。

 宣伝で来日キャンペーンした時、「人肉ってどんな味、するんですか?」なんてマジで聞かれてた。こんな質問ばかりされるんで、日本人はバカばかりと呆れてたでしょうな。

 ニクソンの癖なんかホントよくつかんでるよ。緊張すると舌を曲げて舐める癖があんだ。演技で巧く使ってる。


覚悟して観てください。でも観ればあっという間です。

 ニクソンというと、日本人がいちばんよく知ってる大統領じゃないかな? とくに財界人に聞けば、いちばん最初に出てくると思うな。
 ケネディ? 女性には人気あんだろうね。ヒーローって悲劇が似合うからね。けど、ニクソンと戦ったテレビ討論会。この時、歴史的な僅差でニクソンは負けちゃうんだけど、ケネディ側に明らかな組織的不正があったのよ。

 この時、ニクソンは48歳。2年後の州知事選にも負けます。

 事態を一変させたのはもちろん、ケネディ暗殺。そして、序列で大統領になったジョンソンの2選不出馬。

 そうそう、どうしてこの映画を観たか。まっDVDだけどさ。ニクソンがこんなこと言ってたのを思い出したのよ。

「なぜケネディには希望を見て、私には現実を見るのか?」

 全米市民のことですよ。けど、今ごろ、安倍さんは同じこと言ってんじゃないかな?

 ニクソンは自分のことを嫌われ者だと信じ込んでいたからね。被害妄想というか、不信感というかね。アイクの副大統領職を3回もつとめてたんだよ。それでも、こんなに自信がない。

 この映画ではケネディ暗殺はニクソン陣営の仕業だと暗示してるけど、どうだかわかりません。
 ただし、あのベトナム戦争はケネディが始めたものだし、キューバにしても民主党の軟弱外交で温存されてしまったことも事実。

 小泉さんと安倍さん、イラク問題とアメリカ、そして北朝鮮問題、おそらくは台湾と中国問題・・・歴史は繰り返すというか、相似性、フラクタルな関係が見えるんですよ。
 で、映画で確かめたってわけです。

 しかし、なんたって3時間以上もの長尺だかんね、この映画。一苦労でやんした。
 ただでさえ、締切抱えてるのに観ちゃっていいのかね。担当編集者が何人もこのプログ、チェックしてて、「中島さん、よく映画観たり、本読んだり、グルメしてる余裕がありますねぇ」なんてチクッと痛いとこ突いてくんだよ。

 アメリカ第37代大統領ニクソンを真正面からとらえた力作。監督はオリヴァー・ストーン。
 これはいい映画ですよ。