2011年05月02日「明るいほうへ 明るいほうへ」

カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」

「こだまでしょうか」

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。

「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。

「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。

 そうして、あとで
 さみしくなって、

「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。

 こだまでしょうか、
 いいえ、誰でも。



 あまりにも耳に飛び込んできた詩ですよね。またか、と感じた人も少なくないのでは。童謡詩人、金子みすゞの作品ですね。ACジャパンのCMでまたまた脚光を浴びたようです。
 
 このドラマ。TBSの開局50周年記念作品なんですよね。ということは10年前。道理で、松たか子さんも若いわけだ。

 1903年山口県は長門の仙崎生まれ。みすゞは子どもの頃から勉強もできたし模範になるような生徒。で、女学校を卒業すると、家業の書店を手伝うわけ。

 ちょっと家庭が複雑でね。実の弟がいるんだけど、物心もつかない頃、下関で手広く書店経営をする叔父に跡取りとして養子にさせられるわけ。
 みすゞは弟と知ってるけど、弟は従姉と信じ込んでる。

 弟は姉のことが好き、姉も弟のことが好き。姉は悩みます。で、叔父夫婦も悩む。そして、訳ありの店員とむりやり結婚させるわけ。

「テルちゃん。少しでも迷うならやめといたほうがええ」
「結婚しなくちゃ母様が困るでしょう」
「私のことはええ。人のことより自分のことを考えなさい」
「・・・私もだれかに救ってもらいたい」

 結婚しますがうまくいきません。クビになった夫も歯車が狂ってきます。なにをやってもうまくいきません。慣れない肉体労働で働くけれども家賃にもならない。かといって、みすゞの実家の支援は受けたくない。男の沽券てヤツですな。
 詩を書くことも投稿することも詩人仲間と手紙でやりとりすることも禁止されちゃう。さらには淋疾をうつされてしまうが、金がないので病院にも行けない。

 結局、離婚沙汰になるんだけど、当時の民法は母親には親権がないの。で、娘をとられてしまう日。

 遺書という嘆願書を書くわけ。「母様に娘を預けてください」と。

 さて本日の「中島孝志の聴く!通勤快読」でご紹介する本は「明るいほうへ」(金子みすゞ著・JULA出版局)です。詳細はこちらからどうぞ。