2011年06月10日「おやじ太鼓」

カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」

♪だれがつけたか大太鼓
 雷おやじの忘れ物
 どんどんどんどんどんどどん♪

 脚本は木下恵介さんと山田太一さん。木下恵介プロダクションの制作。
 で、ジャニーズ解散後、あおい輝彦さんの俳優デビュー作がこれ。歌もあおいさん。古いねどうも。私が小学5年生のときにTBSで放送されてたなあ。

「おやじ太鼓」の歌とドラマです(クリックすると視聴できます)。

「地震、雷、火事、おやじ」と怖いものランキングに「おやじ」が入ってたのも大昔のこと。いまどき、怖いおやじなんていますかね。私にしても母親より親父のほうがはるかに優しかったですからね。母親は切れると手がつけられない。

 鶴一家のおやじ亀次郎は裸一貫からそこそこの土建会社をつくりあげた超ワンマン社長。もち、家でも超ワンマン。雷おやじとして君臨してるわけ。

 いつもがみがみ怒鳴ってるけど、子どもたちは慣れっこ。奥さんなど平気の平左。馬耳東風。のれんに腕押し。しかも理路整然と言い返されちゃうんで、雷おやじはいつも形勢が不利になるばかり。
 で、風呂入るぞって逃げちゃう。

 主演の雷おやじが悪役で売った進藤英太郎さん。悪代官とか悪大名役というとこの人か山形勲さんと決まってたなあ。「てめえたち、叩っ切れ!」の台詞で知られる上田吉二郎さんはもうちょっと軽めの悪役。

 このギャップがおかしいのなんの。いい役者でしたよお。名門神戸高校出身(扇千景さんと一緒)のインテリなのよね。



 奥さん役は風見章子さん。上品な山の手夫人といった感じ。子どもが園井啓介さん、西川宏さん、津坂匡章(秋野大作)さん、あおい輝彦さん、香山美子さん、高梨木聖さん、沢田雅美さん、という顔ぶれ。

 このトラマで記憶に残ってるのは、小夜福子さんのシーン。この人、雷おやじの死んだ兄嫁なんだけど、なにかというとこの家にやってくる。で、いつも鰻重のご相伴にあずかる。そのつど雷おやじと遭遇するわけ。

「なんだまた鰻重食べに来たのか」

 このおばさんが登場すると必ず鰻重なんだもん。私ゃ金持ちの家ではいつも鰻重食べてんだなとインプットしちゃいましたよ(天丼&カツ丼のほうが好き。親子丼は歯ごたえがないからダメ)。

 仕事に懸命で曲がったことが大嫌いで頼りになるおやじ。子どものことをいつも気に掛けてて、だから心配で注意ばかりしてるから、みな煙たがってるけど、憎めない。

 あれから42年。雷おやじ。絶滅危惧種でしょうね。


 今回「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『木下恵介の遺言』(横堀幸司著・朝日新聞)です。詳細はこちらからどうぞ。