2013年10月30日「慕情」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 1955年公開。名作中の名作。久しぶりにDVDを見ましたよ。忙しくなると見たくなる。困ったものです。

 これ、中国共産党シンパのハン・スーインの自伝なのよね。ストーリーはご存じの通り。いまさら説明の必要はないでしょう。

 舞台は第2次大戦後の香港。新婚旅行で香港に行った人はみなマークとドクター・ハンのつもりになってたやろなあ。
 愛は多くの輝かしいものである。原題の「Love Is a Many-Splendored Thing。」は原作のタイトルそのまんま。

 主役のジェニファー・ジョーンズはマークの戦死を知ると、いても立ってもいられず、町中をさまよい歩きます。そしていつの間にか、思い出の丘にたどり着いてしまうのです。あのとき、ニコニコしながら木の下に駆け寄る彼女の気持ちは痛いほど切ないですな。

 僕たちはなにも失っていないよ。多くの輝くものを・・・。


主題歌はサミー・フェインの作曲。カラオケでオヤジがよお歌っとりまんな。

Matt Monroの『Love is a many splendored thing』です(クリックすると聴けますよ)。

 香港島は97年にイギリスから中国に返還されました。で、いまは中華人民共和国香港特別行政区になっとりまんねん。
 あまり知られてませんけど、香港島は九龍島とちがって、清朝がイギリスに贈呈したもの。本来、返還義務なんてありません。それに、1941年、日本軍が解放して占領したんです。戦後、弱い弱いイギリスが宗主国づらして舞い戻っただけのこと。もっと弱い中国は追い出せなかったんですね。

 イギリスは返還に先立ち、92年、ラストガバナーのパッテンに全議席直接選挙を実施させます。共産中国は自由選挙なんかできるわけありませんからね(事実、返還と同時に停止しています)。

 いまその中国で第3の天安門事件が起こりつつあります。当局はてんやわんやでんな。これ、大きくなりまっせ。沖縄を領空侵犯してる暇なんてあるんすか。
 いえいえ、人民の目を逸らすためならなんでもやりまっせ。

 抑圧された少数民族と失業者、それに共産党の汚職幹部たちへの不満が爆発してあちこちで暴動になってるじゃないっすか。

 中国の人口は92%が漢民族。残り8%が55の民族=少数民族というわけ。でも領土は7割が少数民族の土地。あまり気づきませんけど、漢民族VS少数民族よりも漢民族同士の対立のほうが激しいわけっす。富裕者VS貧困者。勝ち組VS負け組。狡猾者VS愚直者ですな。

「お金もらって誤報したっす」と謝罪した記者は汚職摘発を精力的にしてた人物。公安に取り調べられたあと、首に締められた形跡があるのはどういうこと?
 正義VSインチキ。このホコタテだけはいずれ解決されることになりまんな。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『うなドン 南の楽園にょろり旅』(青山潤著・講談社)です。詳細はこちらからどうぞ。